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節電に協力するために,PS3/Xbox 360/Wii/PSP/ニンテンドー3DSの最大消費電力を計測してみよう
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印刷2011/04/28 22:44

テストレポート

節電に協力するために,PS3/Xbox 360/Wii/PSP/ニンテンドー3DSの最大消費電力を計測してみよう

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)以来,東北・関東地方を中心に,節電への協力が求められている。
 4月以降,原則的に計画停電の実施が避けられていることもあり,以前と同じ生活が戻ってきているように感じられる人も多いかもしれないが,これから夏にかけては,消費電力増大の見込みにあり,各個人において節電に取り組む意識を持ち続けることは重要だ。

 ここではごく簡単にまとめるが,例えば東京電力の2010年夏における需要のピークは約6000万kW/hで,2011年の現時点での需要見込みは,約5500万kW/hと想定されている(※1)。4月15日付の枝野官房長官による記者発表(※2)では,約5000万kW/h前後の供給を達成できそうであると発表されたが,それでも需要と供給には,500〜1000万kW/hのギャップがあり,7〜9月のピーク時間帯(10〜21時)には,各家庭において前年比15〜20%減の節電が求められている(※3)。

※1 経済産業省公式サイト内「資料1 夏期の電力需給対策の骨格(案)」より(PDF)
http://www.meti.go.jp/earthquake/electricity_supply/0408_electricity_supply_01_00.pdf
※2 首相官邸公式サイト内「官房長官記者発表」(平成23年4月15日午後分)より
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201104/15_p.html
※3 経済産業省公式サイト内「資料3 夏期の電力需給対策について」より(PDF)
http://www.meti.go.jp/earthquake/electricity_supply/0408_electricity_supply_03_00.pdf

 電力は基本的に貯蓄できるものではなく,必要に応じて随時発電して供給するものなので,ピーク時を外した節電を行っても効果は薄い。大事なのは,基本的にピーク時に供給電力量を需要が超えないようにすることである。
 言うまでもなく,一番の節電は電化製品を使わないことではある。ただし,ひたすら電力使用量を減らす方向で自粛するだけでは,経済活動の萎縮にもつながりかねないだろう。たとえば,ゲームは電気を使うから遊ばない・買わないと結論付けてしまえば,ゲーム業界全体の衰退にもつながりかねない。
 今回4Gamerでは,家庭用ゲーム機(+ディスプレイ機器)がどの程度の電力を消費するものなのかを調べてみた。その結果を踏まえつつ,“節電をしつつゲームを遊ぶにはどうしたらいいか”を考えてみたいと思う。

画像集#001のサムネイル/節電に協力するために,PS3/Xbox 360/Wii/PSP/ニンテンドー3DSの最大消費電力を計測してみよう

 計測対象として用意した機材は以下のとおり。PlayStation 3とXbox 360については,大きなモデルチェンジが数回行われているので,そのすべてではないが,発売時期の異なるモデルをいくつか用意した。
 なお,用意したモデル以外にもマイナーバージョンチェンジが行われていることもあるので,モデルによっては,今回の計測結果と異なる数字が出る可能性もある。
 今回計測・提示したデータについては,筆者の手持ち環境での一例である。あくまでも目安として提示するものであり,同等の結果を筆者,4Gamer編集部,各ハードメーカーが保証するものではない点は,あらかじめご了承いただきたい。
 また,製品によって数値に差がある可能性が高く,節電のトレードオフが,どの環境でもそのまま適応できるものではない,という点は留意してほしい。

PlayStation 3(初期型[CECHA00],60GB)〜2008年購入品
PlayStation 3(第2世代[CECHL00 RG],80GB)〜2009年購入品
PlayStation 3(薄型[CECH-2000A],120GB)〜2010年購入品
Xbox 360 スタンダード(旧モデル,HDMI非搭載,20GB)〜2008年購入品
Xbox 360(新モデル,250GB)〜2011年購入品
Wii〜2008年購入品
PSP「プレイステーション・ポータブル」(PSP-3000)〜2011年購入品
ニンテンドー3DS〜2011年購入品

 ゲームソフトは,PlayStation 3では「スーパーストリートファイターIV」(カプコン)と「BAYONETTA」(セガ),Xbox 360では「Fable III」(日本マイクロソフト)と「デッドライジング 2」(カプコン),Wiiでは「モンスターハンター3(トライ)」(カプコン)と「ソニック カラーズ」(セガ)を使用した。
 本稿では,それらの結果のうち,あえて消費電力の大きいものを採用している。それ以外の結果は割愛したが,ほぼ同等の傾向だったので,ソフトの違いによる差は,それほど大きくないと思われる。

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 計測には,サンワサプライから発売されている「ワットチェッカーPlus」を使用した。これは,電化製品とコンセントの間に挟んで各種電力関連データを計測できるというものだ。今回は電源を入れたときの突入電力を除外し,起動後しばらくして消費電力量が安定した状態で計測,そのうち最大の値を採用した。
 また,ゲームを遊ぶ際には必須のディスプレイ機器からは,液晶テレビとPC用液晶ディスプレイの2種類の値も計測している。実際に節電を考える際は,ディスプレイ機器の分も含めて消費電力計算の参考としてほしい。
 比較対象としては,ゲームを遊ぶ際に,1時間以上継続して起動し続けるであろうというように,同様な使い方が想定される機器として,エアコンと扇風機の2種類をピックアップした。その計測結果は以下のとおりとなる。

エアコン(外気温23℃で室温設定20℃)260 〜535W
扇風機:連続風(弱設定)28W
扇風機:連続風(中設定)39W
扇風機:連続風(強設定)47W

待機電力


 それでは,早速計測データの考察を行っていこう。
 まずは待機電力から。家庭用ゲーム機は,PlayStation 3,Xbox 360,Wiiいずれもワイヤレスコントローラを採用していて,コントローラから本体を起動できるようになっている。
 “リモコン付きの電化製品”の多くと同様に,信号を受信したら本体を起動できるよう,本体の電源オフの状態でも電力を消費しているわけだ。コンセントを差したままの状態で,どれだけの電力を消費するのかを調べてみよう。ただし,ワットチェッカーPlusに表示される値は1W刻みとなる。1W未満では数値が「0」を示すため,記事内では計測不能(N/A)と表記している。

PlayStation 3(薄型[CECH-2000A],120GB)N/A
PlayStation 3(第2世代[CECHL00 RG],80GB)N/A
PlayStation 3(初期型[CECHA00],60GB)N/A
Xbox 360(新モデル,250GB)N/A
Xbox 360 スタンダード(旧モデル,HDMI非搭載,20GB)3W
Wii(Wii Connect 24無効)2W
Wii(Wii Connect 24有効)10W
液晶テレビ(東芝REGZA,42V型)N/A
液晶PCディスプレイ(アイ・オー・データ機器製,20.5インチ)N/A

 結果を見れば分かるように,旧Xbox 360 スタンダードモデルとWiiを除き,軒並み待機電力は1W未満という結果になった。なおWiiの場合,「Wii Connect 24」機能をオンにした場合は,電源をオフにしても10Wを消費していた。この機能については,少なくとも夏の間はオフにしておいたほうがいいと考えられる。
 また先に述べたように,待機電力が1W未満だからと言っても0Wではなく,微量の電力を消費している。
 仮に待機電力が0.1Wだとすると,同じ取り組みを数万,数十万人が行えば,全体では数千〜数万Wの節電ができる計算になる。使用しないときはコンセントを抜く,電源を集中管理できるタップでスイッチを切るなど,待機電力をカットする取り組みは行ったほうがいいだろう。

本体起動時&ゲームプレイ時


 次に,本体起動時のメインメニューを表示した,いわゆるアイドリング状態の消費電力の計測結果だ。

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 こちらは,モデルによる差が顕著で,PlayStation 3,Xbox 360ともに,世代が新しいほうが消費電力が少なくなっている。
 なお,PlayStation 3においては,壁紙を動画(標準/クラシックテーマやダイナミックカスタムテーマなど)から静止画(カスタムテーマを含む)に変更することで,どのモデルでも消費電力を10W前後減らすことができた。ゲーム機本体の省電力設定と合わせ,ぜひ適用を行ってほしい。

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 ゲームプレイ時は,やはり測定パターン全体の中で最も消費電力が高くなる。ここでは消費電力の最大値を掲載しているが,PlayStation 3/Xbox 360ともに,旧モデルは新モデルよりもかなり高めの数値となった。その差はけっこう大きなものとなるので,両製品とも最初期のモデルを使用している人は,しっかりと省電力対策を行ったほうがいい。
 また,Xbox 360で計測した,ゲームインストール(取り込み)の有無で2パターンの結果から,ゲームディスクへのアクセス頻度が少ないほうが,全体的に最大消費電力が低くなっていることが分かる。

 ディスプレイ機器の消費電力についても触れておこう。
 今回は東芝製REGZAの42V型,PC用液晶ディスプレイは20.5インチの製品で最大消費電力を計測した。
 液晶テレビは,さすがに大画面だけあって,最大消費電力は141Wとなり,PC用液晶ディスプレイの最大消費電力(37W)と比べると高い。ディスプレイ機器をどちらに接続するか選べる環境にあるのなら,より消費電力の低いディスプレイ機器に接続したほうがいいだろう。

携帯ゲーム機の消費電力について


 携帯ゲーム機の分野では,PSPとニンテンドー3DSの2機種について,消費電力を計測してみた。いずれもバッテリー駆動が基本となるゲーム機ではあるが,その結果もお伝えしておこう。なおPSPはPSP-3000を使用している。

PSP:充電(電源オフ)3W
PSP:充電(スリープ)4W
PSP:ゲームプレイ時(AC接続+充電)4W
PSP:ゲームプレイ時(AC接続,バッテリーなし)N/A
ニンテンドー3DS:充電(電源オフ)4W
ニンテンドー3DS:充電(スリープ,ワイヤレスオフ)5W
ニンテンドー3DS:充電(スリープ,ワイヤレスオン)5W
ニンテンドー3DS:ゲームプレイ時(AC接続,3D表示オフ,ワイヤレスオン)6W
ニンテンドー3DS:ゲームプレイ時(AC接続,3D表示オン,ワイヤレスオフ)6W
ニンテンドー3DS:ゲームプレイ時(AC接続,3D表示オン,ワイヤレスオン)6W

 いずれも最大消費電力は一桁となるが,充電中の最大消費電力は3〜6Wで,スリープ状態にしていたり,ワイヤレス通信機能をオンにしていたりすると,電源をオフにして充電するよりも1〜2W上乗せされるという傾向が出た。充電するときは,ゲームをセーブして電源を切る配慮をすると,より節電につながるといえる。


 というわけで,さまざまなゲーム機の最大消費電力の計測結果はいかがだったろうか。
 冒頭でも書いたが,今回の節電を考えるうえで重要なことは,家庭内での最大消費電力を抑えることだ。
 東京電力の公式サイト内にある「電力の使用状況グラフ」ページを見ると,2011年4月28日時点でのピーク時供給力は約4000万kW/h,予想最大電力は約3250万kW/hとされている。仮にこの状況を維持できれば,計画停電等の実施なしにこの夏を乗りきれる理屈になる(現実にはかなり難しいだろうが)。
 つまり,使用する電化製品を取捨選択する,使用する時間帯をピーク時からずらす,コンセントを抜いて待機電力をカットすることで消費電力量のベースを減らすなどして,“現状維持”になるべく近づけることが,来るべき夏に向けての節電につながるといえるわけだ。

東京電力公式サイト内「電力の使用状況グラフ」ページ


 今回の計測結果でいえば,家庭用ゲーム機を大画面液晶テレビに接続している場合は160〜340W程度,PC液晶ディスプレイに接続している場合は60〜240W程度が消費電力の目安といえる。
 また,夏の時期に使用頻度の高いと思われるエアコンだが,筆者宅の製品を,試しに外気温23℃のときに設定温度を20℃にした場合の消費電力は約260〜535Wだった。なお扇風機は,風量設定の違いで28/39/47Wという計測結果が出た。
 筆者が,エアコンを使いながら(260〜535W),大画面の液晶テレビ(141W)でPlayStation 3(薄型モデル)のゲームを遊ぶ(108W)とする。3つの機器の消費電力を合計すると529〜784Wと,エアコンを使わないでゲームを遊ぶときのざっと2〜3倍という計算になる。
 しかし,エアコンを入れている間はゲーム機の電源を入れない,またはエアコンの電源を入れずにゲームで遊ぶのであれば,最大消費電力は“現状維持”に近くなる。また,ゲームを遊ぶのは,ピーク時を外して供給力に余裕のある時間帯にするという選択もある。そういったトレードオフをしっかりと行えば,夏の間でも,ゲームで遊ぶ余地は十分生まれるはずだ。
 ただ,猛暑日などに暑い部屋でクーラーを切ると,熱中症などの危険もある。健康を害しては元も子もないので,あまり過度なトレードオフは避けたほうがいい。ピーク時に遊ぶのを避ける,扇風機を使ったり設定温度を控えめにしたりといった形で消費電力を減らす方向にとどめたほうがいいだろう。

 また,エアコンや扇風機といった機器以外にも,一般家電製品の消費電力にも留意してほしい。
 たとえば,薄型PlayStation 3の消費電力は,測定結果(=有効電力)は108Wだったが,スペック上だと約230Wだ。日常で使用頻度の高い電子レンジなどは高出力の部類に入る電化製品で,筆者宅の製品は定格で800Wとゲーム機のそれの3倍以上となるため,併用するのはあまりよろしくないだろう。
 なお,一般家電製品の消費電力はさすがにフォローしきれないので,以下のサイトなどを参考に各自で調べたり,各家電メーカーの公式サイトでカタログスペックを確認したりしてほしい。

「節電ネット」サイト内省エネ家電ランキング


 そのほか,今回計測に使用したワットチェッカーPlusのように,消費電力を計測できる機器を購入して,自分で節電対象とする機器を決めるというのもいいだろう。ワットチェッカーPlusは,使用機器のACケーブルとコンセントの間に挟むだけで使えるので,導入するのは非常に簡単だ。
 またワットチェッカーPlusには,事前設定は必要だが,電気料金の概算を確認できる機能がある。たとえば筆者の手持ち環境の場合,PlayStation 3(80GBモデル)を「1か月電源ONのままにしておくと電気料金が1800円弱かかる」という結果が出た。こういった具体的な金額が出ることで節約の意識が加われば,節電への取り組みがより高まるのではないだろうか。

 節電で一人一人が削減できる電力量はあまり大きくないかもしれないが,皆が意識を高くもって取り組むことで,その力はより大きなものとなる。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではなく,継続して取り組む意識を持ってほしい。もちろん筆者もそのつもりだ。


※今回の計測結果の一覧表(PDF)を,「こちら」からダウンロードすることができます。

  • 関連タイトル:

    PSP「プレイステーション・ポータブル」

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