業界動向
Access Accepted第579回:超大作ぞろいのE3 2018がついに開幕
カリフォルニア州のLos Angeles Convention Centerで,北米最大規模のゲームイベント「E3 2018」が開催される。日程は2018年6月12日から3日間だが,この記事の掲載時には大手パブリッシャやプラットフォームホルダーのイベントも始まっており,その模様がストリーミングで配信されているはずだ。すでに発表されているタイトルだけでも,2018年の年末商戦のすごさが予想できるが,それらに加えて,果たしてどんな新作が発表されることになるのだろうか。
北米最大規模のゲームイベント,E3 2018が開催
北米時間の2018年6月12日〜14日,今年で24回めを迎える北米最大規模のゲームショウElectronic Entertainment Expo(通称E3)が,Los Angeles Convention Centerで開催される。
実際にはプラットフォームホルダーや大手パブリッシャのカンファレンス,さらに“キャプチャーイベント”と呼ばれる,ストリーマー達の動画制作イベントが6月9日からスタートしており,この記事が掲載される頃には,4Gamer取材班もフル稼働をしているはずだ。
「E3 2018」公式サイト
PlayStation 4とXbox Oneは,2013年に発売されてからすでに5年が経過し,円熟期を迎えている。後継機の発表などにも期待がかかるところだが,ソニー・インタラクティブエンタテインメントはすでに,「E3 2018で新型ハードウェアの発表はない」ことを明らかにしている。一方のMicrosoftは,手に障害のあるユーザー向けのコントローラ「Xbox Adaptive Controller」をアナウンスしたが,こちらも新しいコンシューマ機の話は聞こえてこない。言うまでもなく任天堂は,昨年Nintendo Switchを発売したばかりだ。
つまり,E3 2018は久しぶりに「ゲームがメインのイベント」になりそうなのだ。
記事掲載時点ですでに終わってしまったものもあるが,いちおう,それらを含めて各社のE3イベントのスケジュールを以下にリストアップしてみよう。
■Electronic Arts
6月9日11:00/6月10日3:00
公式サイト:https://www.ea.com/eaplay2018
Twitch:https://www.twitch.tv/ea
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=qw16v3oGXso
■Microsoft
6月10日13:00/6月11日5:00
公式サイト:https://www.xbox.com/en-US/e3
Mixer:https://mixer.com/xbox
Twitch:https://www.twitch.tv/xbox
YouTube:https://www.youtube.com/user/xbox/videos
■Bethesda Softworks
6月10日18:30/6月11日10:30
公式サイト:https://bethesda.net/en/dashboard
Twitch:https://www.twitch.tv/bethesda
YouTube:https://www.youtube.com/bethesda
ニコニコ生放送(日本語同時通訳):http://live.nicovideo.jp/watch/lv313484851
■Devolver Digital
6月10日20:00/6月11日12:00
公式サイト:https://www.devolverdigital.com/games/page/
Twitch:https://www.twitch.tv/devolverdigital
YouTube:https://www.youtube.com/user/DevolverDigital
■スクウェア・エニックス
6月11日10:00/6月12日2:00
公式サイト:https://e3.square-enix-games.com/en-us/
Twitch:https://www.twitch.tv/squareenix
YouTube:https://www.youtube.com/squareenixpresents
■Ubisoft Entertainment
6月11日13:00/6月12日5:00
公式サイト:https://www.ubisoft.com/en-us/
Twitch:https://www.twitch.tv/ubisoft
YouTube(日本語同時通訳):https://www.youtube.com/ubisoft
OPENREC.TV(日本語同時通訳):https://www.openrec.tv/live/pm8n2dy95Tt
■PC Gaming Show
6月11日15:00/6月12日7:00
公式サイト:http://www.pcgamingshow.com/
Twitch:https://www.twitch.tv/pcgamer
■Sony Interactive Entertainment
6月11日18:00/6月12日10:00
公式サイト:https://live.playstation.com/
Twitch:https://www.twitch.tv/playstation
YouTube:https://www.youtube.com/user/PlayStation
■任天堂
6月12日9:00/6月13日1:00
公式サイト:https://e3.nintendo.com/
Twitch:https://www.twitch.tv/nintendo
YouTube:https://www.youtube.com/nintendo
E3を運営する北米の業界団体ESA(Electronic Software Association)は,昨年のE3 2017で史上初となる一般客向けのチケットを販売し,見本市の枠を超えた「世界で最も注目されるゲームイベント」の新しい形を模索している。今年も一般向けのチケット販売が行われているが,公式サイトを確認する限り,9日土曜日の時点でも販売はまだ続けられている。
どれだけの集客が見込まれているのか現時点では不明だが,発売と同時に売り切れた昨年に比べれば落ち着いている。やはり3日間で249ドルの高額チケットであることや,すべて平日に行われるため一般客にとっては行きにくいということもありそうだ。このあたりについては来年,なんらかの変更が行われる可能性もある。
超大作が並ぶ2018年末〜2019年の北米ゲーム市場
気の早い話だが,2018年末の北米年末商戦は,近年まれに見る大激戦になりそうだ。数年に一度しか新作をリリースしないが,出すものすべてが大ヒットするRockstar GamesとBethesda Softworksが,それぞれ「レッド・デッド・リデンプション 2」と「Fallout 76」という新作を抱えている。この記事の掲載時点で「Fallout 76」の発売日はアナウンスされていないものの,2015年の「Fallout 4」はE3 2015で発表されて半年もたたないうちに発売されたことを忘れてはならないだろう(関連記事)。Bethesda Softworksは,オープンワールドに進化した「RAGE 2」の詳細発表も控えている。
永遠のライバルであるActivisionの「Call of Duty」シリーズとElectronic Artsの「バトルフィールド」シリーズも2年ぶりのガチンコ勝負になり,近未来の戦いを描く「Call of Duty: Black Ops 4」と,久々に第二次世界大戦を描くことになった「バトルフィールド V」が発表されている。
テーマは異なるものの,「Black Ops 4」はシングルプレイのオミット,「バトルフィールド V」は,追加コンテンツを無料配信など,新たな試みに挑戦しており,いずれもシリーズに新たな息吹をもたらすエポックメイキングな作品になりそうだ。
Ubisoft Entertainmentは,「ディビジョン2」と「Assassin's Creed Odyssey」を発表しており,E3 2018もこの2つが中心になりそうだ。発売予定日はカンファレンスを待つしかないが,昨年のE3でアナウンスされた「スカル アンド ボーンズ」や「Beyond Good and Evil 2」といった新作もある。例年,何かしらのサプライズを用意するメーカーでもあるので,そのへんにも期待がかかる。
スクウェア・エニックスの新作は,「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」が9月に発売される予定で,また「KINGDOM HEARTS III」が年内発売予定となっている。ファン待望の「ファイナルファンタジーVII」のリメイク版の情報などが明らかになるだろう。
以上,大手パブリッシャをざっと眺めるだけでもお腹いっぱいだが,プラットフォームホルダーのソニー・インタラクティブエンタテインメントが「Marvel’s Spider-Man」や「Dreams」を年内リリース。これに加えて,発売日がアナウンスされていない「DEATH STRANDING」や「The Last of Us Part II」,さらに2019年以降の発売となるが,「Ghost of Tsushima」や「Days Gone」など,強力なラインナップを誇る。
現時点で知られているMicrosoftのエクスクルーシブタイトルとしては,「Crackdown 3」くらいしかないが,Xboxディビジョンを率いるフィル・スペンサー(Phil Spencer)氏は,自身のTwitterで,「E3 2018は,過去最大規模のタイトル出展数になる」とし,日本のサードパーティなどを迎えてのアナウンスがあると述べている。ショーフロアの配信は,自社開発のストリーミングサービス「Mixer」を使う予定であり,これまでとは雰囲気の違うブースになりそうだ。
任天堂の配信「Nintendo Direct: E3 2018」(関連記事)は,Nintendo Switch向けの「大乱闘スマッシュブラザーズ」と「ポケットモンスター Let's GO! ピカチュウ・イーブイ」に注目が集まっているが,Nintendo Switchの好調を維持するために,年末までにどのようなタイトルをラインナップしているのかが気になるところだ。今年4月には新型Joy-Conと思われるデバイスが北米のFCC(連邦通信委員会)に登録されており,それについても何かしらの発表があるかもしれない。
CD Projekt REDやGearbox Software,Devolver Digital,Focus Home Interactiveといった欧米の中堅パブリッシャ,さらには日本のセガやカプコン,バンダイナムコエンターテインメントなど,注目すべきメーカーは少なくなく,質の高い新作に期待できる。すでにいくつも記事が掲載されているはずだが,引き続き4GamerのE3 2018特設ページをチェックしつつ,気になる新作に目を光らせてほしい。
4Gamer「E3 2018」特設ページ
著者紹介:奥谷海人
4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
来週の「奥谷海人のAccess Accepted」は,筆者E3 2018取材のため休載します。次の掲載は,6月25日を予定しています。
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