男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第479回「報われないから報われたい」

著者近影

　人生とは理不尽なもんよ。平等などないわ。
　そもそも，生きていると出てくる差が面白いのであって，すべてが等しければ頑張る意味がなくなるじゃない。何のために頑張るのかといえば，基本的には報われるためだからね。何をもって報われたことになるかは人によって違うのだけれど。けど，人生は理不尽だから，報われることが少ない。正確に言うと，報われたと感じられることが少ない。
　これって結局は人間が欲深くできているからなんでしょうね。だって，労働は「これだけ働いたらこれだけお金がもらえる」っていう契約がほとんどなわけでしょ。だから，働いて契約どおりのお金がもらえた時点で本来は報われているわけよ。
　でも，そう考えられないケースが多い。思っていたよりも多く働いたり，思っていた以上にもらえる金額が少なかったりするとそういう気分になるんだけど。つまり，人間は往々にして頑張った分に見合う結果が得られないと，報われないと思ってしまう生き物なんでしょうね。
　とはいえ，それを差し引いて考えてみても，報われない＝頑張って望んだ分の結果が出ていない，ということのほうが多い。でも，頑張らなきゃいけない。なぜなら，報われたいから。なかなか報われないけど，その先にある報われる瞬間のために我々は頑張らなければならないのですよ。
　報われている人をうらやみたくなる気持ちは分かる。大して頑張っていないように見える人が報われているように見える場合もある。人生は理不尽だからね。でも，私とその人は代われない。もしかしたら，頑張っているようには見えないだけで頑張っていたのかもしれないし，頑張らなくても済む方法を頑張って見つけたのかもしれない。あるいは，完全に運なのかもしれない。でも，仕方ない。それが人生だから。報われる人もいれば，報われない多数の人だっている。今，報われたからといって，今後もずっと報われるとは限らない。そういうもんだ。
　だから，他人が報われたことをうらやむのもいいけど，ただうらやむだけではなく，ちゃんと参考にしよう。次の戦いで，少しでも報われる確率を上げるために。ただ頑張るだけじゃ報われにくい。結局は運なところもあるけれども，確率を上げるほうがいい。その確率を上げる作業が“頑張る”ってことでしょう？

　今年もサクセスは理不尽である。ダイジョーブ博士の手術に成功し，ミートとパワーをAにして，あとは試合の経験点でオールA選手が見えてきた状態で臨んだ最後の地区大会。6打席6安打6打点4ホームランでもサヨナラ負け。結果，プロ入り叶わず。これを理不尽と言わずして何と言おうか。
　常に正しい選択をしたつもり。そこまでは運良くパワーアップバット極と走力アップスパイク極を手に入れてもいた。当然センスは100に到達。金の特殊能力こそ手に入れていないものの，パワーヒッターも取得。ここまで順調な育成はないと思っていたはずなのに。プロ入りすらできない。
　またあるときは。プロ入りだけはせねばならんとスカウトを追いかけ続け，ほとんどの能力がCかそれに近い状態で，仮に甲子園に行けなくてもまあギリギリプロ入りできるだろうという状態で迎えた最後の春。待ってましたのダイジョーブ博士が案の定失敗。最終的にほとんどの能力がCという，頑張った割には極めて平凡な選手ができてしまう悲しみ。やはり，人生は理不尽であり，サクセスは人生である。

　あ，「実況パワフルプロ野球2018」（PlayStation 4 / PlayStation Vita）の話です。昨年はパッケージでの発売がなかったから，ちょうど2年ぶりのシリーズ作という感じかしらね。いや，今回は……というか，今回もちゃんと期待に応える出来じゃないかしら。相変わらず一球入魂具合が素晴らしい。
　ウイイレもパワプロもそうなんだけど，ほぼ毎年出すこのシリーズでもちゃんと上乗せしてくるのが凄いわよね。サクセスが難しかったり，栄冠ナインのテンポが思いのほかゆっくりしているという点は個人的に気になるんだけど，野球部分に手抜きはないし，何より楽しいか楽しくないかで言うとダントツに楽しいという仕上がりでございます。


　あとは，何作か前にあった追加課金要素がないのも安心。頑張れば必ず報われるというわけでもないけど，地道に頑張っていけば応えてくれるという意味での公平さは保たれているわ。趣味ならなおさらだけど，その世界が自分の思いどおりにならないと「面白くない」って評していろいろ理由をつけて文句を言いたくなるものだからね。
　でもね。その先ですよ。報われる瞬間って，信じて頑張り続けなきゃヤってこないのですよ。いや，頑張ってもヤってこない場合だってあるけど。趣味なんて，選べるんだから。どうしても合わなきゃ別の趣味を見つけりゃいい。でも，その趣味で報われたいなら信じ続けなきゃ。文句を言えているうちはまだ大丈夫。
　ま，それは趣味だけでなく仕事でも同じなんだけどね。文句や愚痴を言うにしても，なるべくプラスになる文句や愚痴にしたいもんです。その趣味や仕事を続けるのであれば，戦いはもう始まっているのだから。確率を上げて，報われたほうがいいじゃない。なので，愚痴や文句を言いつつも，オールA選手を目指して頑張りますよ。せっかくの趣味なんだから。
　これが私にとってのパワプロの楽しみ方なのです。おかげさまで，人生でいい時間を過ごさせてもらってますよ。ほとんど報われてないけど。


　そうは言っても人生は理不尽です。辞めたいことや逃げ出したいことはたくさんあります。自分が今，これを辞めたらどうなるんだろうな？　って考えること，あります。いいんですよ辞めても。逃げ出しても。それによって他人に迷惑をかけることになったって，自分を守るためだったらその選択も仕方なし。迷惑をかけないに越したことはないけどね。
　ただ，今は報われなくても，その先に報われることもありますから。辞めたり逃げ出すことすらも，報われることへの選択肢の一つなのです。自分はどういう形で報われたいですか？　それは本当に今の形で頑張れば報われる可能性のあるものですか？　こだわり過ぎてないですか？　報われない可能性が高くても続けますか？　いずれの選択をしたにしても，その先にあるものをイメージしてみましょう。
　人生の長さは自分には分かりません。でも，皆さんが自分の人生の中で，報われないものの先にあるものを少しでも多く手に入れられますように。報われないときこそがきっと重要です。少しでも確率を上げる前向きな愚痴や文句を。願わくば，報われないときすらも楽しめますように。では，また来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4：「実況パワフルプロ野球2018」
PlayStation Vita：「GOD WARS 〜時をこえて〜」
Nintendo Switch：「OPUS-地球計画」
ニンテンドー3DS：「牧場物語 ふたごの村＋」
iOS：「ドラゴンクエストライバルズ」「ウイニングイレブン カードコレクション」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手がプロデューサーを務めるDDTプロレスは，今週末の5月12日に鳥取・米子産業体育館サブアリーナ大会「Road to Ryogoku 2018〜ドラマティック・ドリーム・とうふちくわ〜」を，翌13日に福岡・博多スターレーン大会「Road to Ryogoku 2018〜ドラマティック・ドリーム・とんこつ〜」を開催します。なお，ディーノ選手は博多大会後に実家を訪れる予定だそう。「離れて暮らす親に会うのは年に1〜2回でしょ。で，親が80歳まで生きるとして会えるのはあと10数回じゃ？　なんて思うと，会えるときに会っておいたほうがいいなって思ってね」とのことでした。