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インディーズゲームの小部屋:Room#517「Rym 9000」
最近は新大陸でハンター生活を送っている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第517回は,Sonosheeの「Rym 9000」を紹介する。本作は,月に隠された古代文明の遺産を手に入れるために戦いを繰り広げるという縦スクロールSTGだ。狩友になってくれる心優しいハンターさんを募集してもいいですか?
月に隠された古代文明の遺産「Rym 9000」。これを手に入れた者は,世界のすべてを支配できるという。そんな古代遺産を狙う人類同士の競争が激しさを増すなか,プレイヤーもRym 9000を手に入れんとするパイロットの一人として,愛機を駆って月を目指すことに。
しかし,月へ向かう道中はさまざまな防衛機構に守られており,一筋縄ではいかない。自機の武装はショットのみとシンプルで,ステージの途中で出現するパワーアップアイテムを取ることで強化可能。また,自機が被弾するとショットが一時的に大幅に強化されるほか,十字型をしたアイテムが飛来し,これを取得することで被弾前のショットに復帰できる。
出現する敵の周囲には円が表示されており,この円は時間と共に,白→黄色→赤へと変化していく。これは,その敵を倒したときの得点の高さを示しており,出現後すぐに倒すほど高得点が得られる仕組みだ。敵の出現パターンを覚えて,素早く撃墜していくのがハイスコアを狙うコツだが,ショットの発射中は移動速度が低下するため,むやみに連射すればいいというわけではない。
そして,本作のもう一つの大きな特徴が,グリッチと呼ばれる画面表示の乱れをあえて前面に押し出した独特のグラフィックス表現。背景もファミコンのカセットを半挿しして起動したときのように,常に乱れたように表示され,敵にショットを撃ち込んだり,撃破したりすると激しく画面がちらつくなど,見た目のインパクトはとにかく強烈だ。
ゲーム中は常にこんな調子なので,各ステージのボスなどと激しく撃ち合っていると,グラフィックスの乱れで敵弾を見失ってしまうなんて事態も,このゲームではよくあること。そのため,ときには攻撃の手を休めて,しっかりと敵の攻撃を見極めるといった,メリハリのあるプレイも重要となる。
本作は「AKIRA」や「新世紀エヴァンゲリオン」,そして「洞窟物語」で知られる開発室PixelのフリーSTG「Guxt」にインスパイアされたという作品で,ショットのみで戦うシンプルなゲーム性はGuxtに通じるものがある。また,プレイ中に特定のアチーブメントを達成することで「WORLD LOG」という資料がアンロックされ,これを読むことで本作の世界観をより深く理解できる。
グリッチ表現を多用した強烈なグラフィックスとサイバー感あふれるBGM,そしてテンポのいいゲームプレイで,プレイヤーをぐいぐい引きつける魅力のある本作。とにもかくにも,このグラフィックスは一見の価値があるので,シューティングファンはぜひどうぞ。そんな本作は,Steamにて620円で発売中だ。
■「Rym 9000」公式サイト
https://sonoshee.itch.io/rym9k- この記事のURL:
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