連載
インディーズゲームの小部屋:Room#521「Crossing Souls」
世界的なギターメーカー・ギブソンが倒産の危機にあるという報道を目にして大変心を痛めている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第521回は,Fouratticが開発した「Crossing Souls」を紹介する。本作は,死者の世界との交信が可能になる不思議な石を手に入れてしまい,大きな陰謀に巻き込まれた5人の少年少女のひと夏の冒険を描いたアクションアドベンチャーだ。ここはちょっと無理してでも,支援のためにレスポールを購入すべきか……。
本作の舞台は1986年のカリフォルニア。夜中に大嵐が街を襲い,不気味な色の雷が落ちた翌日,街では奇妙な出来事が多発していた。近所の家ではポルターガイストが発生し,図書館でも幽霊騒ぎが起きていたのだ。ちょうど夏休み中だったクリス,マット,チャーリー,ビッグジョーは,クリスの弟ケビンに呼び出されて街外れの森へ向かい,そこで何者かの死体を発見する。そして,その死体が持っていた不思議な石を手にしたときから,5人の運命は大きく動き出すことに……。
クリス達が見つけたのは,死者の世界との交信が可能になる「ドゥアトストーン」と呼ばれる石。より具体的には,特定の装置に組み込むことで死者の姿が見えるようになるというものだ。装置を起動すると街中にいる幽霊が可視化され,触れたり話をしたりできるようになるが,なかには悪霊と化した者もおり,襲い掛かってくることもある。さらに,クリス達を目のカタキにする不良グループや石を狙う謎の組織も登場し,彼らの身に次々と危険が迫ってくる。
5人の少年少女はそれぞれ異なる攻撃方法や特技を持っており,それを駆使してさまざまな困難に立ち向かっていく。リーダー格のクリスは父親からもらったバットを振り回して敵と戦い,壁をよじ登る特技があり,紅一点のチャーリーは鞭を使った広範囲の攻撃と素早いダッシュが得意といった感じだ。ゲーム中はいつでもメンバー交代できるが,誰か1人でも倒れてしまうとゲームオーバー。攻撃や特技を使うとスタミナが減少し,ゼロになると一定時間動けなくなるので,スタミナの管理にも十分注意しよう。
少年少女が森の中で死体を発見するという,映画「スタンド・バイ・ミー」チックな導入からも分かるとおり,本作では1980年代のアメリカの雰囲気を重視しており,「グーニーズ」や「グレムリン」,そして「バック・トゥー・ザ・フューチャー」などをモチーフにした小ネタやアイテムが散りばめられている。また音楽も1980年代のシンセポップにインスパイアされたもので,ときおり挿入されるアニメーションもカートゥーン調のものだったりと,そのこだわり具合はなかなかのものだ。
ほのぼのとしたピクセルアートで描かれたグラフィックスから,探索メインのアドベンチャーゲームかと思いきや,アクションシーンも多めなので,プレイの際にはぜひともゲームパッドを用意したいところ。ゲーム中盤以降は1980年代へのオマージュが薄れてしまうのがやや残念だが,丁寧な日本語ローカライズと先が気になるストーリーが相まって,最後まで一気に遊ばせる力がある。そんな古き良きアメリカ映画を思わせる本作のPC版は,Steamにて1480円で発売中。ドゥアトストーンを巡る陰謀に,クリス達はどう立ち向かうのか。気になる人はぜひどうぞ。
■「Crossing Souls」公式サイト
http://crossingsoulsthegame.com/- 関連タイトル:
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