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アークとプロゲームチームSunSisterのコラボPCを試す。「PUBGを快適にプレイするためのデスクトップ機」の実力は
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印刷2019/01/31 14:00

レビュー

プロゲームチームSunSisterとのコラボで誕生した「PUBGのためのPC」をチェックする

パソコンショップ アーク SunSister Gaming Spec Evo Player Edition CY-IC6H37A-SSE


 ゲーム推奨PCがシステムビルダー(≒ショップブランド)の花形だった時代も今は昔。最近では,プロゲーマーやプロストリーマーとのコラボPCこそが,最も人気のあるゲームPCジャンルになっているそうだ。国内におけるPCゲーム人口の拡大に伴い,「初めてゲームをプレイする人に分かりやすい」ゲーム推奨PCよりも,「勝てるスペック」「配信に耐えるスペック」のゲームPC,そして何より「憧れのゲーマーやストリーマーと同じ」ゲームPCのほうがニーズとして高まってきたということなのだろう。

 そんな前置きを踏まえて今回取り上げるパソコンショップ アーク製のゲーマー向けデスクトップPC「SunSister Gaming Spec Evo Player Edition CY-IC6H37A-SSE」(以下,CY-IC6H37A-SSE)は,製品名にもあるとおり,2010年から活動しているプロゲームチーム「SunSister」の全面協力を得て誕生したという製品である。

CY-IC6H37A-SSE
メーカー&問い合わせ先:アーク(パソコンショップ アーク)
問い合わせ先:アークサポート総合案内
BTO標準構成価格:21万2000円(税込,2019年1月31日現在)
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 GeForce RTX 20シリーズが立ち上がっているなか,あえて「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)をGPUとして採用するという,なかなかに渋い構成のマシンだが,その実力はどれほどか。さまざまな角度からチェックしてみたのでレポートしたい。

※本稿では,ゲームプレイベースのテストをBRZRK氏,ベンチマークによるテストを宮崎真一氏,それ以外を4Gamerの佐々山薫郁が担当します。


MSI製のPCケースにMSI製のパーツで固めたCY-IC6H37A-SSE


SunSisterコラボモデルのイメージ画像。ここで写っているPCケースがCorsair製の「Crystal Series 460X RGB Compact ATX Mid-Tower Case」だ
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 パソコンショップ アークはSunSisterのスポンサーとして,SunSister Suicider'sが活動している「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)をプレイするためのコラボPC計4モデルを展開中だ。
 具体的なラインナップは以下のとおりで,上位2モデルはCorsair,下位2モデルはMSIと,やはりSunSisterのスポンサーであるメーカー製のPCケースを採用している。

  • Pro Player Edition:PUBGをプレイしながら配信し,さらに同時に他のアプリも問題なく動作させられるというモデル
  • Rev Player Edition:PUBGをプレイしながらGPUエンコードも活用して配信するためとされるモデル
  • Evo Player Edition:PUBGをストレスなくプレイするためとされるモデル
  • Try Player Edition:PUBGをプレイするための基本スペックを調えたとされるエントリーモデル

 本稿の主役となるCY-IC6H37A-SSEは,冒頭で正式な製品名をお伝えしているとおり,下から2番めのEvo Player Editionである。採用するPCケースはMSIの「MAG PYLON」で,そのほかBTO標準構成におけるスペックは以下のとおりだ。

●CY-IC6H37A-SSEのBTO標準構成の主なスペック
  • CPU:Core i7-8700(6C12T,定格3.2GHz,最大4.6GHz,共有L3キャッシュ容量12MB,TDP 65W)
  • マザーボード:MSI「H370 GAMING PLUS」(Intel H370,ATX)
  • メインメモリ:PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2(サンマックス・テクノロジーズ「SMD4-U16G48M-26V-D」)
  • グラフィックスカード:MSI「GeForce GTX 1080 ARMOR 8G OC」(GeForce GTX 1080,グラフィックスメモリ容量8GB)
  • ストレージ:SSD(容量256GB,NVM Express/PCI Express x4接続,Intel「SSD 760p」(SSDPEKKW256G8))
  • パネル:15.6インチ液晶,解像度1920×1080ドット,ノングレア(非光沢)
  • 有線LANコントローラ:1000BASE-T(Intel「I219-V」)
  • 無線LANコントローラ:非搭載
  • サウンドコントローラ:HD Audio CODEC(Realtek Semiconductor「ALC892」)
  • 電源ユニット:定格650W(Corsair「RMx Series RM650x 80 PLUS Gold Fully Modular ATX Power Supply」)
  • 外部インタフェース(グラフィックスカード側):DisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b Type A×1,Dual-Link DVI-D×1
  • 外部インタフェース(マザーボードI/Oポート側):DisplayPort×1,HDMI Type A×1,Dual-Link DVI-D×1,PS/2×1,USB 3.1 Gen.1×4,USB 2.0×2,3.5mmミニピン×6(※アナログ7.1chサラウンド出力およびマイク/ライン入力用)
  • 外部インタフェース(PCケース前面ポート側):USB 3.1 Gen.1×2,USB 2.0×2,3.5mmミニピン×2(※ヘッドフォン出力およびマイク入力用)
  • 公称サイズ:約218(W)×440(D)×470(H)mm(※突起部含まず)
  • 公称重量:未公開
  • OS:64bit版Windows 10 Home

 MAG PYLONは,外部ドライブベイを持たずに,平らな前面パネルを採用することで見栄えを重視した製品だ。本体上面手前側に電源ボタンやリセットボタン,USBポートを並べたミドルタワーPCケース,という紹介も可能だろう。

インタフェースは本体上面手前側と背面側に集中している
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 外観上の特徴は,0.6mm厚の鋼板からなるシャーシの前面,そして正面向かって左右側面の外装パネルとしてそれぞれ4mm厚の強化ガラスを採用しており,内部を覗けるようになっていること。筐体レベルで搭載するLEDは本体前面の3連120mm角ファン部だけだが,MSIとしては,ユーザーがLEDテープ(※LEDストリップとも言う)などを追加する想定をしているようで,またパソコンショップ アークのBTOページでもLEDテープの追加が可能だ。

前面および左側面のガラスパネルは手回しビスで固定されており,簡単に取り外せる。内部は十分なスペースがあり,また平らな部分も多いので,光らせたい場合はLEDテープの貼りがいがあるだろう
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ぱっと見では分かりにくいが,本体正面向かって右側面もスモーク処理入りのガラスパネルだ
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前面はシャーシとガラスパネルの間に開いた約7mmの隙間から給気する仕様
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搭載するCPUクーラーはサイズ製の「虎徹 Mark II」(SCKTT-2000)。上面部は120mm角ファン2基の取り付けに対応する
 MAG PYLONの搭載する3連前面ファンはMSI独自のLED制御技術「Mystic Light」に対応している(はずな)のだが,CY-IC6H37A-SSEにおいて,少なくともWindowsレベルでLEDの色や光り方をカスタマイズする手段は用意されていない。
 強化ガラスにはスモーク処理が入っているため,標準状態でもLEDの色が眩しすぎるということはないのだが,出荷時設定として,Windowsから可能な輝度および色のカスタマイズ手段が用意されておらず,パソコンショップ アークとして何も説明していないのは残念なところだ。

 エアフローの観点で気になる筐体側の空気孔だが,前面および底面が吸気用で,背面および上面が排気用となる。標準搭載の排気用ファンは背面用の120mm角×1のみなので,冷却能力を引き上げたい場合には上面の120mm角×2用空きスペースを活用することになるだろう。

 ファンの動作音は,少なくともアイドル時は十分に静か。ゲームを実行すると相応に大きくなるが,密閉型のヘッドセットやヘッドフォンを装着してしまえばまったく気にならない。開放型であっても,サウンド出力音量次第では気にならないレベルなので,GTX 1080搭載のゲームPCとしては静音性が高いと述べて差し支えないと思われる。

前面ファンにはマグネット固定式の防塵フィルターが取り付けてあった。汚れたらぺろっと剥がして洗えばいいわけである
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こちらは底面側の吸気周り。30mmの高さがある大きな足で,吸気能力を高めてある。なお,下部にも2か所防塵フィルターは用意されているが,こちらは低コストな填め込み式だ
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 内部もチェックしてみよう。
 MAG PYLONはグラフィックスカードやCPUの冷却を最大限重視し,外気をほぼ直接送り込むという,これまた最近のゲーマー向けPCケースで定番の設計になっている。また,CY-IC6H37A-SSEの組み立てにあたってパソコンショップ アークはケーブル類を本体右側面のマザーボードトレイ背面側へ回しているため,本体左側面から覗き込んだ内部は非常にすっきりした印象だ。

本体左側面側から見た内部構造。整然とした印象だ
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 SunSisterコラボモデルだからだろうが,マザーボード「H370 GAMING PLUS」とグラフィックスカード「GeForce GTX 1080 ARMOR 8G OC」もMSI製だ。いずれもPC自作市場で流通している(=店頭で買える)選択肢である。

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H370 GAMING PLUSの拡張スロットはPCI Expess x16 ×2,PCI Express x1 ×4。PCI Express x4およびSerial ATA 6Gbps両対応のM.2×1。2スロット仕様のグラフィックスカードとM.2接続のSSDが標準搭載となる
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H370 GAMING PLUSだとSerial ATA 6Gbpsポートは5つ。ゲームPCのストレージ用としては十分な数と言い切ってしまっていいように思う
こちらは搭載するGeForce GTX 1080 ARMOR 8G OCグラフィックスカード。アイドル時にGPUの温度が60℃を下回るとファンの回転を自動で停止する「Zero Frozr」(ゼロフローザー)機能が有効になっている
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本体右側面の内部構造
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 すっきりしたマザーボード側に対して,その反対側はそうでもないというのが,CY-IC6H37A-SSEの持つもう1つの(あまり歓迎できない)特徴である。
 まず,MAG PYLON側にケーブル類をきっちり束ねるための機構が最小限しかないので――パソコンショップ アークの組み立て担当は結束バンドを駆使して懸命に束ねようとしているのだが――見た目はあまりよろしくない。しかも,ケーブルの通り道が本体底面前側にある2基の3.5インチドライブトレイを覆ってしまっているため,ここは相当に使いづらい。言われないと気付かないという人もいそうだ。

配線はあまり美しくない(左)。マザーボードトレイ背面側に2.5インチドライブトレイが2基あるのは,最近のPCケースではよく見る仕様だ(右)
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問題の(?)3.5インチドライブトレイ。ケーブルで覆われていて,アクセスしづらい。ビスなしでHDDを固定できるトレイをHDDごとなんとか突っ込んで,ケーブルをうまく引き回せれば,ファンによる冷却を行いながら使えるメリットはあるのだが……
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PUBG(とFortnite)で現実的な快適性をチェック。サウンド周りも


 本稿の序盤で紹介したとおり,CY-IC6H37A-SSEは「PUBGを快適にプレイできる」ことにフォーカスしたPCだ。とはいえ,パソコンショップ アークもSunSisterも,「CY-IC6H37A-SSEでどう設定すれば快適にプレイできるか」について何も語ってくれていないので,実際に試してみることにしよう。

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テスト中のBRZRK氏
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BRZRK氏お勧めのPUBGグラフィックス設定
 さて,そのPUBGの設定からだが,ゲーム側の設定「グラフィック」−「高度な設定」にある「全体クオリティ」をいろいろ試してみた限り,画質と速度性能の両立を図るのであれば,「高」プリセットが筆者(=BRZRK)のお勧めだ。

 高プリセットだと,フレームレートはおおむね90〜150fpsを維持できる。もちろん,マップ「Erangel」の「Georgopol」や「Yasnaya Polyana」のように,たくさんの建物が乱立するような場所では50〜60fps台まで落ち込んでしまうこともあるのだが,よく知られているとおり,PUBGはそもそも“軽く”はないタイトルだ。なので,特定の場所というよりは,「視点を左右に大きく振る」など,多数のオブジェクトを即座に描画しなければならない局面を使って,当該のグラフィックス設定に納得できるかをチェックしたほうがいい。そして,それでチェックした限り,筆者としては高プリセットを推すといった感じである。

 もう1タイトル,「Fortnite」でもテストしてみた。
 PUBGと比べるとFortniteの描画負荷は相対的に低めだが,建物が多く立ち並ぶエリアはオブジェクトの数が多く,それが原因でフレームレートが下がったりすることがある。それを踏まえてまずゲーム側の設定「画面」から「品質」プリセットを最も高い「エピック」にしたところ,おおむね安定的に120fpsが得られるのだが,建築物が多く立ち並ぶエリアである「ティルテッドタワー」だと,オブジェクトを読み出す「最初の一瞬」でフレームレートががくっと落ち込むことがあった。

BRZRK氏お勧めのFortniteグラフィックス設定
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 そこで,「高」に落とし,FPSやTPSでは画面情報を得るうえで何のメリットもない「モーションブラー」も無効化すると,ほぼ安定して170〜200fpsが得られるようになり,ティルテッドタワーでがくっと落ちても110fps前後は確保できるようになったので,CY-IC6H37A-SSEではこのあたりがベターだろう。
 なお,設定の詳細設定で「アンチエイリアス」や「ポストプロセス」などを弄ってみても,フレームレートに大きなインパクトはなかった。

 ゲームプレイにおいて重要な音周りもチェックしておきたい。
 CY-IC6H37A-SSEが搭載するマザーボードであるH370 GAMING PLUSでは,サウンド入出力のアナログ段をほかのコンポーネントから独立させてノイズを低減させたり,日本ケミコンのオーディオ向けコンデンサを搭載したり,オンボードのサウンド入出力端子に金メッキを施したりすることで音質の向上を図っているとのことだが,音質面で一般的なゲームPCと比べて明らかによいという印象は残念ながら受けなかった。
 致命的な問題があるわけではないので,そこは勘違いしないでほしいのだが,サウンド出力品質に過度の期待はしないほうがいいだろう。

 ただし,アピールされている「ポップノイズ除去機能」はマザーボード背面側のインタフェースだけでなく本体上面手前側のインタフェースにおいても有効で,ここはうれしいポイントだと言える。

Nahimic 2+のメニュー「音声」から「シューター」プリセットを選択した状態(上)。FPSやTPSでは残響(Reverb,リバーブ)はあるだけ音の発生場所が分かりにくくなるので,これは無効化することを強く勧めたい
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 サウンド周りで重要なこととしては,H370 GAMING PLUSが「Nahimic 2+ Audio Enhancer」(以下,Nahimic 2+)によるバーチャルサラウンド機能を利用できることが上げられる。出荷時にNahimic 2+はセットアップされているので,ユーザーはタスクトレイからNahimic 2+を有効化し,プリセットを選ぶだけで,スピーカー出力もしくはヘッドフォン出力でバーチャルサラウンドサウンドを利用可能だ。
 今回は(というか今回も)SteelSeries製のアナログ接続型ヘッドセット「Arctis 3」を装着してテストしたが,実際に「シューター」プロファイルを有効化してみると,前後左右から発せられる音の解像度が上がり,大雑把ながらも感覚的に「このあたりから音がしているかな?」とアタリを付けられるようになった。

 なお,真正面もしくは真後ろをそれぞれ中央とした左右30度くらいから音が鳴った場合だけは「前か後ろか」は分かる一方,「左か右か」までは特定できず,視覚情報による補完が必要だったことは付記しておきたい。ある程度の参考にはなる,くらいの認識をしておくのが正解だろう。


「5年前のゲーマー向けPCから買い換えるとどれだけ幸せになれるか」をテスト


 今日(こんにち)のゲームタイトルを前にしたとき,体感レベルでCY-IC6H37A-SSEにどの程度の性能があるかについては前段でBRZRK氏が語っているが,ここからは,5年前相当のゲーマー向けデスクトップPCと比較することで,「古いゲームPCから買い換えるとどれくらい幸せになれそうか」を見ていくことにしたい。
 約5年前のゲーマー向けPCとして用意したPCのスペックは表1のとおりで,具体的にはCPUに「Core i7-4790K」(以下,i7-4790K),GPUに「GeForce GTX 780」(以下,GTX 780)をそれぞれ採用したPCである。以下,比較対象のデスクトップPCは「i7-4790K+GTX 780」と表記する。

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 テストに用いたグラフィックスドライバは,CY-IC6H37A-SSE,i7-4790K+GTX 780ともに,テスト開始時点の公式最新版となる「GeForce 417.35 Driver」で統一。Windows 10には「October 2018 Update」を適用し,とくに断りのない限り,最高性能が発揮できるように電源プランは「高パフォーマンス」で揃えている。

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1準拠。解像度は,CY-IC6H37A-SSEの搭載するGTX 1080が2019年1月時点のハイクラス市場向けということもあり,3840×2160ドットと2560×1440ドット,1920×1080ドットの3条件を選択した。

 なお今回は,CY-IC6H37A-SSEが持つ「非ゲーム性能」も確かめるべく,3Dレンダリングベンチマーク「CINEBENCH R15」(Release 15.038)と,UL製のシステムの総合性能ベンチマーク「PCMark 8」(Version 2.10.901),さらにトランスコードアプリケーション「ffmpeg」(Version 4.1)を用いたテストも実施している。
 なお,これらの具体的なテスト方法については後段で紹介したい。


GTX 1080搭載機らしい手堅さのCY-IC6H37A-SSE。約5年前のゲームPCを圧倒


 まずは「3DMark」(Version 2.7.6283)の結果から見ていこう。
 グラフ1は,その3DMarkにおけるDirectX 11テスト「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。CY-IC6H37A-SSEはi7-4790K+GTX 780の2.23〜2.47倍といったところで,圧倒的大差を付けている。高解像度になればなるほどスコア差が開いているのは,メモリ周りの大きなスペック差によるものという理解でいい。

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 Fire Strikeの総合スコアからGPUテスト「Graphgics test」の結果を抜き出したものがグラフ2だが,ここでのスコア傾向は基本的に総合スコアを総合スコアを踏襲したものとなっている。スコア差は129〜152%程度だ。

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 次にグラフ3は,同じくFire Strikeから,事実上のCPUテストである「Physics test」の結果をまとめたものになる。
 ここでのスコアは,CY-IC6H37A-SSEの搭載する6コア12スレッド対応のi7-8700と,i7-4790K+GTX 780が搭載する4コア8スレッド対応のi7-4890Kによる比較と言ってもいいが,スコア差は61〜62%程度。マルチスレッド対応テストおけるコア数の違いがしっかり出ていると見てよさそうである。

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 CPUとGPUの両方の性能がスコアに影響する「Combined test」の結果がグラフ4だが,CY-IC6H37A-SSEのスコアはi7-4790K+GTX 780比で2.3〜2.5倍といったところで,ここでもCY-IC6H37A-SSEが格の違いを見せつける格好となった。

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 続いて,同じ3DMarkからDirectX 12のテストである「Time Spy」のテスト結果を見ていきたい。
 グラフ5は総合スコアをまとめたものだが,CY-IC6H37A-SSEはi7-4790K+GTX 780の2.6〜2.8倍と,Fire Strikeによりギャップが広がっている。これはGTX 1080とGTX 780のDirectX 12対応状況の違いという世代間格差がスコアに反映された結果と言っていいだろう。

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 総合スコアからGPUテストの結果を抜き出したものがグラフ6で,両者のスコア差は175〜193%程度と総合スコアより広がる。DirectX 12世代のアプリケーションを前にしたとき,GTX 1080とGTX 780の間にはこれくらいの性能差が生じ得るわけだ。

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 一方,CPUテストの結果がグラフ7で,ここでのスコア差は76〜78%程度と,Fire StrikeのPhysics testよりも広がった。DirectX 12世代のアプリケーションであるTime SpyではFire Strikeよりもマルチスレッド処理の比重が大きいので,これは納得できる結果である。

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 以上を踏まえ,CY-IC6H37A-SSEのゲーム性能をチェックしていこう。
 グラフ8〜10は「Far Cry 5」の結果だが,CY-IC6H37A-SSEとi7-4790K+GTX 780の違いは明白だ。5年前のハイエンドゲームPCでは4Gamerのベンチマークレギュレーションが合格ラインとして規定する60fpsをすべてのテスト条件で満たせないが,CY-IC6H37A-SSEは2560×1440ドット条件でも大幅に上回っている。

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 続いて「Overwatch」の結果がグラフ11〜13だが,CY-IC6H37A-SSEは「ウルトラ」プリセットを適用しても最小フレームレートで234fpsを確保できているので,垂直最大リフレッシュレート240Hz級ディスプレイの性能をほぼ活かしきれると言っていい。120Hz級までしか活かし切れないフレームレートに留まるi7-4790K+GTX 780との違いは明白だ。

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 PUBGの「高」プリセットにおけるテスト結果がグラフ14〜16で,1920×1080ドット条件においてCY-IC6H37A-SSEはおおむね136fps以上を期待できることが見てとれる。BRZRK氏も指摘するとおり,さまざまな条件でフレームレートは下がるだけに,テストレベルで100fpsを当たり前に超えた数値が確保できているのは,平均でも70fps台後半に留まるi7-4790K+GTX 780にはないメリットと言えるだろう。

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 グラフ17〜19はFortniteのテスト結果だ。i7-4790K+GTX 780は1920×1080ドットでも最小フレームレートが60fpsにまったく届いていないのに対し,CY-IC6H37A-SSEは100fps超級だ。この違いもやはり大きい。

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 続いて「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)の結果がグラフ20〜22だ。高解像度テクスチャパックを導入しているため,グラフィックスメモリ容量が3GBに留まるGTX 780にはかなり厳しい結果となっているが,CY-IC6H37A-SSEであれば,4Gamerが合格ラインとしている最小フレームレート30fpsを2560×1440ドット条件でクリアできている。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたものがグラフ23だ。スクウェア・エニックスの指標だとスコア7000以上が最高評価となるところ,4Gamerでは独自に8500以上をハイエンド環境の合格ラインとしているわけだが,CY-IC6H37A-SSEでは2560×1440ドット条件でこの水準を大幅に上回っている。同条件でi7-4790K+GTX 780にダブルスコア以上の大差を付けている点も注目したい。

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 グラフ24〜26はFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものになる。
 平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものとなっているが,よりインパクトがあるのは最小フレームレートのほうだろう。i7-4790K+GTX 780は1920×1080ドット条件でも22fpsまで落ちてしまうのに対し,CY-IC6H37A-SSEは2560×1440ドット条件まで50fps超を維持できている。

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 「Project CARS 2」の結果はグラフ27〜29のとおりだが,ここでもCY-IC6H37A-SSEはi7-4790K+GTX 780に対して2倍以上の平均フレームレートを示している。
 レギュレーションでは,ハイエンド環境の合格ラインを平均60fps以上としているが,CY-IC6H37A-SSEであれば2560×1440ドットでそれを満たしている一方,5年前のハイエンドゲームPCだと1920×1080ドットでも遠く及ばないわけで,この違いは大きい。

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6コア12スレッド対応CPUの性能も期待どおり


 ゲーム以外のアプリケーションを前にした性能もチェックしていきたい。グラフ30はCINEBENCH R15の結果だが,ここではCPUコアとスレッドを使い切る「CPU」(以下,総合スコア)と,1コア1スレッドの性能を見る「CPU(Single Core)」,以上の2テストを実施した。
 結果,CY-IC6H37A-SSEとi7-4790K+GTX 780の総合スコア差は約65%。ざっくり言ってしまえば,3DMarkのPhysics testと同じような傾向だ。

 なお,CPUの動作クロックはCY-IC6H37A-SSEのi7-8700が定格3.2GHz,最大4.6GHzなのに対してi7-4790K+GTX 780のi7-4790Kは定格4.0GHz,最大4.4GHz。シングルスレッド性能を見るCPU(Single Core)のスコアでは,最大クロックの約10%という違いがスコアを左右しているようである。

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 続いてPCMark 8のテスト結果がグラフ31となるが,ここではテスト対象とした2製品のスコア差がほぼ生じていない。これは,PCMark 8がマルチスレッド処理にそれほど最適化されていないためで,詳細スコアをまとめた表2を見ると,測定値が秒(s)となるテストでは,マルチスレッド動作時のクロックが低いためか,一部のテストではむしろCY-IC6H37A-SSEのスコアが低いという逆転現象も確認できる。
 古めのアプリケーションだと6コア12スレッドのメリットを十全に体感できない可能性もあることは押さえておきたい。

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 グラフ32は,ffmpegを用いた動画トランスコードのテストの結果となる。今回は,FFXIV紅蓮のリベレーターを実際にプレイした動画,具体的には,6分42秒の長さがあり,動画フォーマットはMotion JPEG形式,ビットレートは149Mbps,解像度は1920×1080ドットというデータを用意。それを「libx264」でH.264/AVC形式,もしくは「libx265」でH.265/HEVC形式へそれぞれトランスコードしたときの所要時間を測定している。

 結果を見ると,CY-IC6H37A-SSEはH.264/AVC形式へのトランスコードでi7-4790K+GTX 780から12分以上の時間短縮を実現しているのが分かる。負荷の大きいH.265/HEVC形式だと23分以上の大差を付けており,6コア12スレッドのCPUを採用している恩恵は,ffmpegにおいてかなり大きいと言えるだろう。

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消費電力,温度とも妥当なレベルのCY-IC6H37A-SSE


 CY-IC6H37A-SSEの消費電力もチェックしておきたい。ここではログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いて計測することにした。
 テストにあたってはゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,電源プラン設定を「バランス」に戻し,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果がグラフ33で,CY-IC6H37A-SSEは,ゲームアプリケーション実行時においてi7-4790K+GTX 780から14〜39W程度低いスコアを示した。ゲーム性能でi7-4790K+GTX 780に大差を付けつつも消費電力が下がっているというのは,最新世代のゲームPCらしいところだ。

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 CPUとGPUの温度も確認しておきたい。ここでは3DMarkのTime Spyを連続30分間実行した時点を「高負荷時」としたうえで,アイドル時ともども,CPUは「Core Temp」(Version 1.13),GPUは「GPU-Z」(Version 2.16.0)から温度を取得した。
 なお,i7-4790K+GTX 780はPCケースに組み込んでいない,いわゆるバラック状態でテストを行い,CPUクーラーはCPUのパッケージに同梱の,いわゆるリテールクーラーを用いている。また,CY-IC6H37A-SSEとi7-4790K+GTX 780は,ともに室温24℃の環境で,同じ机の上に順番に置いてテストを行った。

 まずCPU温度の測定結果がグラフ34だが,大型の空冷CPUクーラーを搭載するCY-IC6H37A-SSEは高負荷時でも70℃を下回っているので,まったく問題ないレベルにあると言っていい。
 一方,GPU温度のスコアを見るグラフ35だとテスト対象の2製品で高負荷時の温度はほぼ横並びとなった。同じような温度制御がなされているということだと思われる。
 なお,アイドル時にCY-IC6H37A-SSEの温度が若干高めなのは,ファンの回転が停止するためだ。

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ゲームPCとして実に手堅いCY-IC6H37A-SSEだが,SunSisterはどこにいる?


 以上,CY-IC6H37A-SSEを細かく見てきたが,最後に本製品の良いところと残念なところ,人によって評価が割れるであろうところを以下のとおりまとめてみた。

良いところ
  • 今日(こんにち)のeスポーツタイトルをプレイするのに十分な3D性能
  • 拡張スロットへアクセスしやすい筐体設計
  • ファンの風がしっかり当たる3.5インチシャドウベイ
  • 高い静音性

残念なところ
  • BTO標準構成で256GBしかないストレージ容量
  • 筐体の仕様に起因する,妥当とは言えないケーブルマネジメント
  • 採用するパーツ以外には見えないSunSisterの存在感

人によって評価が割れるであろうところ
  • Windowsからカスタマイズできない前面LED
  • 光学ドライブ非搭載
  • 前面ではなく天面部にある追加インタフェース

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 「PUBGをプレイするためのゲームPC」として,CY-IC6H37A-SSEのスペックは実に妥当だ。GPUもCPUも確かに最新世代とは言えないかもしれないが,得られる性能は十分なものなので,性能面に不満を覚えることはまずないだろう。将来的に何か拡張しようと思ったときに応えられる筐体仕様,そしてマザーボード仕様なのもありがたいところだ。

 一方,ここまであえて触れてこなかった2点が,CY-IC6H37A-SSEというゲームPCの大きな弱点だと考えている。1つは,BTO標準構成のストレージ容量がわずか256GBしかないことで,この容量では極論,「PUBG専用PC」くらいにしか使えない。
 パソコンショップ アークではBTOに対応しているため,Cドライブ(=システムドライブ)の容量を増やしたり,セカンダリのストレージを追加したりすることは容易であり,4Gamerとしてもそうすることをお勧めするが,それは事実上,CY-IC6H37A-SSEというPCは,BTO標準構成の21万2000円(税込)だと買えないということと同義でもある。ゲーマーにとってより現実的なスペックをBTO標準構成にしてほしかった。

CY-IC6H37A-SSEに付属するSunSisterロゴシール。スポンサー企業のパーツを搭載しているという事実を除き,ユーザーがSunSisterコラボモデルらしさを感じられるのはこのシールしかない
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 もう1つは,ある意味最も重大な問題だ。CY-IC6H37A-SSEにはSunSisterの存在感がないのである。SunSisterのスポンサーになっている企業のパーツが積極的に採用され,さらに製品ボックスにはロゴシールが付属しているが,それだけだ。
 たとえば,「簡単な挨拶と,CY-IC6H37A-SSEでPUBGをプレイするための推奨設定を説明する,購入者限定のビデオ」的なものをデスクトップに置いておくとか,隠しアドレスからYouTubeで閲覧できるようにするとか,PCを購入したファンとSunSisterの橋渡しになるようなアイデアが入っていれば,それだけでもずいぶんと印象は違ったように思う。

 ただ,いま挙げた2つの弱点が,「お金で解決できる問題」と,「あくまでも心情的に納得できないという話」でしかないのも確かだ。ゲームPCとしては完成度の高い選択肢と言えるので,MSI製デスクトップPCであるかのような外観に惹かれるのであれば,FPSやTPS用のゲームPCとしてCY-IC6H37A-SSEは考慮に値するとまとめておきたい。

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パソコンショップ アークのCY-IC6H37A-SSE販売ページ

パソコンショップ アークのSun Sistereコラボモデル特設ページ

  • 関連タイトル:

    arkhive(旧称CROYDON・GOUGER)

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