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東京レトロゲームショウ2015:第10回 「THE ATLAS」で,都合のいい事実だけを信じて生きていきたい
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印刷2015/07/16 12:00

連載

東京レトロゲームショウ2015:第10回 「THE ATLAS」で,都合のいい事実だけを信じて生きていきたい

画像集 No.001のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2015:第10回 「THE ATLAS」で,都合のいい事実だけを信じて生きていきたい

今週のテーマ:嫌なことは見て見ぬ振りしよう

 スマートフォンの所有率がハンパないことになっている今日この頃,外出先でも手軽に地図を見られるのは当たり前の話。さらには目的地までのルートも表示されるんだから,便利このうえない。ではそれ以前,具体的には24年前の(ゲーマー的な)地図事情はどうなっていたのか。そんな疑問に応えるべく,今回の「東京レトロゲームショウ2015」では「THE ATLAS」を取り上げていきたい。

PC-9801版は「プロジェクトEGG」で発売中。正確には,のちに発売されたHDD対応版の「THE ATLAS HD」だ
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 「THE ATLAS」は,PC-9801用として1991年にアートディンクより発売された海洋冒険シミュレーションの名前だ。15世紀のヨーロッパを舞台に,探検船団を指揮して地図(ATLAS)を制作していくことが目的になる。そう,24年前のPCゲーマーは,こうやって地図に大冒険というロマンを重ね合わせ,ほかのゲーム,例えば「ダンジョンマスター」とか「ダイナソア」では方眼紙片手にマッピングして,地図作りを楽しんでいたのだ。

ゲームスタート時は,ヨーロッパ付近の地形のみ明らかになっている。それ以外の地形を探検して,地図を作っていくことが目的だ。セピア色で統一された画面からにじみ出るオシャレな感じも見逃せない
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信じることで大陸は初めて確定されるッ!


 さて,「THE ATLAS」における地図の作り方だが,本作の主人公はポルトガルの商人という設定になっており,自分で冒険へは行かない。ここがまず個性的だ。自分で行かなくてどうするのかといえば,冒険家の提督を雇って未知の大海原へ探索に行かせ,戻ってきたら報告を聞いて地図に付け加えていく,というプロセスで地図を完成させるわけだ。

探検船団を編成し,航海するルートを指定すると,提督が頑張って探索し,陸地を発見してくれる
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 本作最大の特徴は「世界の地形が,現実とは微妙に異なる形に生成される」ことだろう。現実の地形とは(ヨーロッパ以外)異なり,自分だけのちょっと変わった世界地図を作れることが,このうえないアピールポイントといえる。
 同様に地図作成要素があるコーエーテクモゲームスの「大航海時代」シリーズとは明確な差別化が図られており,「大航海時代」シリーズのファンも違った気持ちで楽しめる。これは嬉しい。

陸地は微妙に違っているため,だんだん現実とは異なる地図になる……はずだが,今回は割と似ちゃったりして
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海岸線がリアルに作られると言うことで,当時は技術的にも話題になった記憶がある。なんか,フラクタルとか,マンデルブロとか
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 さてこの地図だが,提督の報告を「信じる」ことで,初めて地形が確定される。陸地がほしい感じだけど,「行ってみたら見渡す限り海でした」なんて気に入らない報告を受けた場合,「おまえの話は信用ならん!」と報告を無視すれば,その提督が冒険で見た記録はなかったことになる。
 現実には目をつぶりたくなるような案件が山ほどあるが,「そんなもん見たくない!」というワガママがまかり通ってしまう,なんともステキな世界なのだ。ああ,いろんな意味でうらやましい。

探検から帰った提督は,「いやー,今回はマジやばかったっスよー」って感じで見たことを報告してくれる
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だが,その報告内容が気に入らなかったら「信じない」を選べば,冒険で見たことはなかったことに。これを繰り返していくことで,自分の意志を反映した世界地図が作られるわけだ
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 そんなドキドキワクワクがたっぷり詰まった地図作りだが,帆船を購入したり,提督への賃金を支払ったりと,実行するには先立つものが必要だ。だが主人公は金がわき出るツボなどは持っていない。というわけで,お金を稼ぐための「交易」というシステムが本作には用意されている。
 世界を探索していると,まれに村や町が見つかることがあり,ここに交易所や商館を建てれば,交易が行える。とはいえ,これもまあ他人任せで,交易船を購入し,航路を設定すれば,あとは勝手に往復して売り買いしてくれるという寸法だ。

一定以上の人数が住んでいる場所には,交易所を建てられる。さらに人口が多い場所には商館を建てられ,冒険の拠点にもできる
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 ただし,交易は確実に利益を生み出すわけではない。価値の低い物,例えば小麦やラワン材などを運んでも売り上げは雀の涙ほどで,結果的に赤字路線となることもある。水銀や銅などは高く売れるが,調子に乗って交易しまくると資源が尽きて終わり,なんて結末も珍しくない。儲かるルートを見極めて航路を開き,運営後も状況を小まめにチェックしていくという,商人ならではのテクニックが重要になるのだ。

交易所や商館が建てられた場所同士で,交易を行うことも可能。儲かるかどうかは条件次第
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 さて,本作のもう一つの魅力が,世界各地で発見できる特産品や生物,文化,アーティファクトなどの収集物だ。小麦やワインといった実在のものも登場するが,ツチノコやバンパイアといった架空の生物,羊が実としてなる伝説の「スキタイの羊」など,架空のものも非常に多い。これらの収集物は,発見すると図鑑に登録されるため,珍しい生物を集めてニヤニヤするのもまた楽しい。
 ちなみに宝物のたぐいは,発見すると王様から褒美がもらえ,これが割とバカにできない金額なので,不慣れな交易に手を出すよりもよっぽどお金を稼げる。これだから,トレジャーハンターはやめられない。

変な生物や宝物を探すのも本作の魅力。アフリカ大陸付近でツチノコが見つかったりするから不思議
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 地図作りだけでなく,交易にトレハンにと,多彩な要素が楽しめる「THE ATLAS」。さらに,心血を注いで造りあげた地図の内陸部を探索できる「THE ATLAS II」という続編もあるため,2作遊べば文字どおり世界中を探索できるわけだ。

これまでに発見したさまざまな収集物を一覧で見られる,辞典的な機能も搭載されている。写真は「ぷよぷよ」にも出てきたスキヤポデス
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 そんな「THE ATLAS」と,続編の「THE ATLAS II」は,D4エンタープライズが運営中の「プロジェクトEGG」で入手可能だ。この2作をWindowsに移植し,操作性をちょっと改良させたらしい「THE ATLAS レジェンドパック」も発売されており,こちらはアートディンクの公式サイトのほか,「Steam」でも売っている。
 さらにいえば,大幅なアレンジバーションである「Neo ATLAS」シリーズといったものも存在しており,初代PlayStationやPC向けに発売されて人気を博した。もしかしたら,知名度はこちらのほうが高いかもしれないかな。

 すでに,やけくそに暑い季節が訪れているが,嫌なことには目をつぶり,「THE ATLAS」で気分だけでも大海原へ乗り出してみるのもいいんじゃないかと思う。

プロジェクトEGG「THE ATLAS」紹介ページ

(C)ARTDINK
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