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ゲーマーに向けたサングラス型ディスプレイ「VITURE One」を試す。携帯型ゲームPCとの組み合わせはベストマッチだ
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印刷2023/07/14 17:00

テストレポート

ゲーマーに向けたサングラス型ディスプレイ「VITURE One」を試す。携帯型ゲームPCとの組み合わせはベストマッチだ

総試用時間:20時間

 米国のベンチャー企業「VITURE」が開発したサングラス型ディスプレイ「VITURE One」(ヴィチュアー ワン)の先行予約キャンペーンが,クラウドファンディングサイト「Makuake」にて,7月23日まで実施中だ(関連記事)。

VITURE One
メーカー:VITURE
先行予約価格:5万8800円(税込)から
画像集 No.002のサムネイル画像 / ゲーマーに向けたサングラス型ディスプレイ「VITURE One」を試す。携帯型ゲームPCとの組み合わせはベストマッチだ

 「Next Gen XR Glasses」と謳うVITURE Oneであるが,本製品が重点を置いているのは,AR(Augmented Reality)やMR(Mixed Reality)用途よりも,眼鏡のように気軽にかけられるディスプレイという点だ。

VITURE創業者のDavid Jiang氏。VITURE Oneと専用周辺機器の「VITURE One ネックバンド」を身に付けている
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 とくにVITUREは,VITURE Oneとゲームの親和性が高いことを大きくアピールしている。VITUREの共同創業者であるDavid Jiang氏が,大のゲーム好きということもあり,VITURE Oneにはゲームのリモートプレイに適した周辺機器や,Nintendo Switchと組み合わせるための専用機器などが,最初から用意されているのだ。

 そんなVITURE Oneをチェックしていこう。なお,本稿で紹介しているのは早期アクセス版といえる機器で,今後,実際に販売されるモデルとは外観や機能面が若干異なる可能性があることをお断りしておく。


近視のメガネ民ならそのままかけられるVITURE One


 VITURE Oneは,大きめのサングラスのように見えるディスプレイ本体を,付属の専用USB Type-CケーブルでPCやスマートフォン,タブレット端末などに接続して使う機器だ。

正面から見たVITURE One。今回の試用機は青系の「マットインディゴ」だが,黒系の「ジェットブラック」モデルもある
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着用する側から見たVITURE One本体。鼻あて部分は取り外して,サイズの異なる付属品(3種類)から,自分に合うものを選べる。写真の鼻あては一番長いものだが,平たい顔族である筆者には,これでも短くて鼻に届かない。David Jiang氏に,「もっと長いのを出してください🥺」とお願いしたが……
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 PCやスマートフォンに相当する機能を内蔵しているわけではないので,単体では動作しない。あくまでもディスプレイなのだ(※頭の動きを検知するジャイロセンサーは内蔵している)。バッテリーやワイヤレス通信機能も内蔵していないので,ワイヤレスでは使えない。
 バッテリーやコンピュータ機能を備えていないので,公称本体重量は100gを下回り,約78gしかない。500gを超えるVRヘッドマウントとは比較にならない軽さだ。

 使い方自体はとても簡単。PCやスマートフォンに映像出力可能(=DisplayPort Alternate Mode対応)なUSB Type-CポートやThunderbolt 3/4ポートがあれば,そこにVITURE Oneを付属ケーブルで接続するだけだ。VITURE Oneは,USBポート経由の電力で動作し,映像信号を認識すれば自動で起動するので,あとは映像出力元の機器がVITURE Oneを外部ディスプレイとして認識すれば,レンズ部分に映像が映し出される。

AndroidスマートフォンとVITURE Oneを接続して使用する例。iPhoneは市販のLightning to USB Type-Cアダプタを使うか,Lightning to HDMIアダプタと後述するモバイルドックを組み合わせることになる
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VITURE One本体と付属ケーブルは,右のテンプル先端で接続する(左)。コネクタは磁石で貼り付いているので,引っ張られると簡単に外れて機器やケーブルを壊さない仕組みだ。ケーブルの長さは実測で約1.11mだった
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 レンズに当たる部分は,半透明になっているので,着用したり映像を見たりしている状態でも前方が見える。

着用した状態。レンズは半透明で外が見えるので,正面から見ると映像が若干透けて見える
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 レンズの上部分には,マイクロ有機ELディスプレイが左右それぞれ1つずつ組み込まれており,これを小型のミラーで偏向して目に見せる仕組みだ。ディスプレイの解像度は,1920×1080ドットで,視野1度あたりの画素密度(PPD:Pixel Per Degree)は55と,かなりの高密度だ。

VITURE Oneを下側から除いたところ。小型のディスプレイが下向きに取り付けられているのが見える
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レンズを無理矢理覗き込んで撮影してみた。ピントがうまく合っていないが,発色の良さや雰囲気は伝わるだろうか
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 VITUREでは,「3m先に120インチ相当の大画面」とアピールしているが,実際に着用して映像を見てみると,「50cm先に24インチくらいの画面」というのが適切に思える。その意味では,ものすごい大画面感を期待すると,肩すかしを食らうかもしれない。

 VITURE Oneと同じようなグラス型ディスプレイは,すでに何種類か存在している。たとえば,XREAL製の「XREAL Air」(旧称:Nreal Air)がそれだ。ただ,XREAL AirにはないVITURE Oneだけの大きな特徴に,組み込みの視度調整機能がある。

視度調整を行うダイヤル。左右のレンズに1つずつある
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視度調整ダイヤルの構造が分かるイラスト
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 XREAL Airの場合,メガネを使っている人はメガネをかけたまま着用するか,別売りの視度調整レンズを購入して,レンズの前に取り付けて使う必要があった。それに対してVITURE Oneは,メガネ部分の上側面にある小さなダイヤルを回転させると,小型ディスプレイの位置が少し動くので,視力に応じて調整することで,近視の人でもメガネなしでVITURE Oneを使えるのだ。
 VITUREによると,視度調整機能で対応可能な範囲は0.00D〜−5.00Dとのこと。筆者の場合は−3.00D〜−3.25Dなので,組み込みの視度調整機能だけでクリアな映像を見られた。追加費用なしで,メガネ民でも気軽に使えるのは,極めて大きな利点と言えよう。

 なお,乱視や−5.00Dよりもきつい近視の場合は,別売りの度付きレンズフレームを注文することもできるそうだが,注文の方法や,注文時に必要な処方箋をどう扱うかの情報は,今のところまだない。

 もうひとつ,VITURE Oneにおける大きな特徴は,透過度を調整できる機能があることだ。
 先述したとおり,VITURE Oneのレンズ部分は半透明なので,着用して映像を見ている状態でも周囲が見える。とはいえ,周囲が見えた状態では,映像への没入感が妨げられてしまう。そこでVITURE Oneでは,レンズ部分に組み込んだ電子調光フィルムにより,周囲の透過度を2段階に切り替えることができるのだ。

 透過度を下げるとレンズが暗くなるので,周囲の情景が目に入りにくくなる。まったく見えなくなるわけではないが,明るい室内でも映像を見るのに支障はなくなるだろう。

上が標準の透過度(※具体的な数値は未公開)で,下が透過度を下げた状態。透過度を下げると,かなり暗くなっているのが分かるだろう
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 なお,レンズの前に取り付ける別売りの遮光板「レンズシェード」も用意されているので,透過度調整では物足りないという人は,これを使うといい。

別売りのレンズシェードを取り付けた状態。レンズ側は完全に遮光されるが,真横や下側には開口しているので,周囲の光が多少入ってくる
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 VITURE Oneのテンプル(つる)部分,耳の近くには,harman/kardonブランドで名高いHarman Internationalと共同開発したという小型スピーカーが内蔵されており,映像表示だけでなくサウンドも単体で再生可能だ。音量や音質も十分で,ゲームや動画のサウンドを楽しむのに役立つ。

テンプル部分にあるスピーカーのスリット。当然ながら音は漏れるので,音を一切外に漏らしたくない場合は,別途,イヤフォンやヘッドフォンを用意するのがいいだろう
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左側のテンプルには,操作ボタン類がある。写真左側のボタンでは,シングルタップで透過度が変わり,右側のボタンではディスプレイの輝度調整を行う。左側のボタンをダブルタップすると,右側のボタンが音量調整ボタンに切り替わり,もう一度左側ボタンをダブルタップすると,輝度調整に戻る
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ゲーマー向けのオプション「モバイルドック」と「マウンター」


 冒頭でも触れたとおり,VITURE Oneは,とくにゲーム機との組み合わせやゲーム用途に適した周辺機器を,最初から用意しているのが大きなポイントである。その一例が,「VITURE One モバイルドック」(以下,モバイルドック)と,ゲーム機の背面にモバイルドックを固定するための「モバイルドック マウント」(以下,マウンター)だ。

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 先述したとおり,VITURE One付属の接続用ケーブルはUSB Type-Cだけで,そのままではHDMIから映像を出力するPCやゲーム機を接続できない。また,VITURE Oneはバッテリーを内蔵していないので,電力を供給する手段も必要だ。そこでVITUREが用意したのが,モバイルドックである。
 モバイルドックは,大きめのモバイルバッテリーにHDMI入力端子と,VITURE Oneを接続するUSB Type-Cポートを2つ備えている。ゲーム機のHDMI出力とモバイルドックのHDMI入力をHDMIケーブルで接続して,モバイルドックのUSB Type-CポートにVITURE Oneを接続すれば,バッテリーから電力を供給しつつ,ゲーム機の映像と音声をVITURE Oneで再生できるわけだ。
 ゲーム機と組み合わせてVITURE Oneを使うことを想定しているなら,必須の周辺機器と言えよう。

モバイルドック。手前の側面にインタフェースが並んでおり,左からHDMI入力,映像出力機器やACアダプター接続用のUSB Type-C,VITURE Oneを接続するUSB Type-Cが2つの配置となっている。つまり,2台のVITURE Oneをモバイルドックに接続して,2人で同じ映像を見ることも可能だ
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Steam Deckと専用マウンター,およびモバイルドック
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 さらに,このモバイルドックを別売りのマウンターにはめ込んで,Steam Deckの背面に取り付けると,Steam Deckに充電しながら,映像と音声をVITURE Oneに出力できる。車や電車,飛行機の座席でプレイすることも可能だ。

Steam DeckとモバイルドックにVITURE Oneを接続した状態
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Steam Deckとモバイルドックは,モバイルドック付属の短いUSB Type-Cケーブルで接続できる
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 Switchとマウンター,モバイルドックの組み合わせも同様に,車や飛行機の中でプレイに適する。ただ,モバイルドックとマウンターをSwitch本体に取り付ける場合,「Joy-Conは取り外して使うように」と説明書に書かれていた。おそらくは,モバイルドック+マウンターの重量がSwitch本体に加わると,Joy-Conの取り付けレールに負荷がかかりすぎるという判断ではなかろうか。

Switchとマウンター,モバイルドック,VITURE Oneの組み合わせ。Joy-Conは本体は取り外し,Joy-Conグリップに取り付けて使う
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ハンズフリーで動画視聴やリモートプレイができるネックバンド


 VITURE Oneにおける,もうひとつの面白い周辺機器が,「VITURE One ネックバンド」(以下,ネックバンド)である。
 これは,首にかけるネックバンド型のAndroid TVデバイスで,プロセッサとバッテリー,無線LANおよびBluetooth通信機能を備えたものだ。

ネックバンド
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 ネックバンドとVITURE Oneを組み合わせれば,フリーハンドのワイヤレス環境で動画やWebブラウジング,電子書籍などを楽しめる。とくに,「ベッドに寝転がりながら,YouTubeで動画を見る」なんて用途には最適だ。

ネックバンドにVITURE Oneを接続して着用した状態。ケーブルは最小限の長さなので,邪魔にはならない
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ネックバンドのホーム画面。ほぼ素のAndroid TVベースだが,VITURE One向けにカスタマイズされている
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ネックバンドのハードウェアに関わる設定画面。画面を任意の位置に固定する「ピンモード」や,内蔵ファンの静音設定などがある
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 また,YouTubeで公開されている車載カメラでのドライブ動画をVITURE Oneで見ながら,フィットネスバイクを漕いで運動するのにもネックバンドは適していた。テレビでドライブ動画を表示しながらでは,テレビ周りの邪魔なものが目に入るので没入感に欠けるが,VITURE Oneなら,映像に没入しながら走る気分を味わえるわけだ。

 さらに,ネックバンドにAndroid TV対応のリモートプレイアプリをインストールして,Bluetooth接続型ゲームパッドをネックバンドに接続すれば,ケーブルに煩わされないワイヤレス環境で,ゲームをリモートでプレイできる。これは,グラス型ディスプレイの分野で先行するXREAL Airにもない利点だ。

ネックバンドのアプリストア。対応アプリをダウンロードできる
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 ただ,ネックバンドのOSは通常のAndroidではなく,テレビや「Chromecast for Google TV」のような周辺機器用のAndroid TVをベースとしている。そのため,スマートフォン向けゲームの大半は対応していないし,Android用のリモートプレイアプリも,すべてが利用できるわけではない。

Google Playストアでゲームジャンルを確認すると,Android TV対応のゲームがリストアップされるが,国内でメジャーなゲームはあまりない
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 たとえば,PCを母艦にするSteam公式のリモートプレイアプリ「Steam Link」は,ネックバンドでも利用できるが,PlayStation公式のリモートプレイアプリ「PS Remote Play」は,Android TVに対応していないのでネックバンドでは使えないわけだ。
 幸い,非公式の有料アプリではあるが,AndroidTVでPS5/4からのリモートプレイを可能にする「PSPlay」というソフトもあるので,PSプラットフォームでのリモートプレイもできないわけではない。

Steam Linkはネックバンドでも利用できるリモートプレイアプリのひとつだ
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 筆者は今回,VITURE Oneとネックバンド,Steam LinkアプリとBluetoothゲームパッドを使って,自宅内リモートプレイでいくつかのPCゲームを試してみた。家庭内LAN〜無線LAN経由なので,遅延はほとんど気にする必要がないレベル。たとえば,最近お気に入りのローグライクアクションゲーム「デイブ・ザ・ダイバー」は,もともと遅延にシビアなゲームでもないこともあり,実に快適だ。

自宅のゲームPCにSteam Linkアプリで接続した様子。ゲームパッドには「DUALSHOCK 4」を使っているので,画面下のボタンマークはPS準拠になっている
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 ただ,ネックバンドにも多少の問題はある。ネックバンドの左側部分に,D-Padやホームボタンといった操作ボタンをまとめているのだが,装着しているとボタンを視認できないので操作しにくいのだ。どれがどのボタンなのか,指で触っただけでは判別しにくいので慣れが必要となる。むしろ,Bluetooth接続したゲームパッドで操作したほうが,ネックバンドを楽に扱えると思う。

操作ボタン類は,ネックバンド左側にまとめられている。円形のD-Padで,メニューやボタンを選択して,中央をクリックで選択が基本。D-Padのどのボタンが上下左右操作に当たるかは,ネックバンド側の設定で変更できるので,使いやすい配置にするとマシになる
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VITURE Oneの利点と課題とは


 今回の試用期間中,VITURE Oneを最も多く活用したのは,ベッドに寝転がっての動画視聴だった。
 筆者は,よくベッドに寝転がってスマートフォンやタブレットで動画を見るのだが,手に持って見続けていると疲れるし,そもそもPCやテレビで見るのに比べれば画面が小さいので,体験の質という点では低い。しかし,VITURE Oneがあれば,こうした問題はすべて解決だ。スマートフォンやタブレットにVITURE Oneを接続して,メガネのように顔にかければ,目の前に大きな画面が広がる。手がふさがらないし,周囲の様子も見えるので,かたわらに置いた飲み物を飲むのも簡単だ。

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 映像品質も良好である。フルHD解像度の映像を表示できるので,WindowsやWebブラウザの文字もきちんと読めた。VITURE Oneが使っているマイクロ有機ELパネルは,原理的に液晶パネルよりも応答速度が速く,残像感も少ないので,動画視聴にも適している。眠るまでの時間,VITURE Oneで動画を見るのが日課になってきた。
 寝転がり視聴時は,スマートフォンかネックバンドをVITURE Oneにつないで使っていたが,ケーブルが届く範囲に置いておかなくてはならないスマートフォンよりも,置き場を選ばないネックバンドのほうが快適だ。

 もうひとつ,VITURE Oneとの親和性が高いなと感じたのは,携帯型ゲームPCとの組み合わせである。携帯型ゲームPCにおける弱点のひとつは,画面が小さく視認性が低いこと。この点は,VITURE Oneと組み合わせることで解決できる。とくに,視認性の問題で携帯型ゲームPCには適さない小さな文字情報の多いゲーム,たとえばシミュレーションゲームなどを携帯型ゲームPCでプレイするときも,VITURE Oneは役立つ。
 筆者は今回,編集部から携帯型ゲームPC「AYANEO AIR」を借りてVITURE Oneと組み合わせてみた。高いグラフィックス性能を要求しないので,携帯型ゲームPCでも軽快に動作するインディーズゲーム,たとえば先述のデイブ・ザ・ダイバーなどは,VITURE Oneを使えば小さな画面サイズに悩まされることがなくなり,実に快適にプレイできる。ベッドに寝転がったままでのプレイもはかどった。

 逆に,スマートフォンやタブレット向けのゲームは,タッチ操作が必須なものが多いので,VITURE Oneと組み合わせてのプレイには,あまり適さなかった。指が画面上のどこにあるのか,いちいち目線を下にやって確認しているようでは,快適なプレイとは言えない。ゲームパッドで操作できるスマートフォンゲームならアリ,といったところか。

 VITURE Oneをサブディスプレイ的に使う用途は,今のところ適切な使い方を見いだせていない。VITURE Oneには,任意の位置に映像表示固定して,空中の一角に画面が浮いているかのように使う「アンビエントモード」という機能がある。これを利用して,VITURE Oneを空中に画面を表示するサブディスプレイとして使えないかと考えた。しかし,普段はメガネを着用して生活している筆者の場合,VITURE Oneはメガネなしでも見られるが,通常のディスプレイはメガネなしだと見えないので,両立できないのだ。
 もちろん,VITURE One用に度付きのインサートレンズを用意すれば,VITURE Oneがメガネ代わりになるので,着用したままでも通常のディスプレイを見られるようになるだろう。ただ,15〜17インチ級でフルHD解像度の小型ディスプレイが2万円台で買える現状では,VITURE Oneをサブディスプレイとして使うのは,サブディスプレイを置く場所がまったくないという場合に限られそうである。

画像集 No.030のサムネイル画像 / ゲーマーに向けたサングラス型ディスプレイ「VITURE One」を試す。携帯型ゲームPCとの組み合わせはベストマッチだ
 そんなわけで,筆者にとってVITURE Oneがマッチする使い方ランキングの第1位は,「スマートフォンやネックバンドと組み合わせて寝たまま動画視聴」で,第2位は「携帯型ゲームPCと組み合わせての寝たままゲームプレイ」だった。画面サイズの制約に悩まされることなく,リラックスした姿勢で動画を視聴したり,ゲームをプレイしたりできるのは最高だ。

 この種の特殊なデバイスは,自分の生活にフィットするかどうかが鍵であり,すべての人にお勧めできるわけではない。価格も,先行予約中は本体だけで5万8880円(一般販売時は7万4880円の予定,価格はすべて税込),モバイルドックとのセットでは7万2880円(一般販売時は9万6880円の予定)と,決して安価な製品でもない。
 周囲を気にせず,大画面を独り占めできるとか,スマートフォンや携帯型ゲームPCの小さい画面に縛られない体験を得られるといった要素に魅力を感じる人は,Makuakeの先行予約に申し込んでみるといいだろう。先行予約は7月23日までなので,見逃さないようにしてほしい。

MakuakeのVITURE One先行予約ページ

VITURE 日本語公式Webサイト

VITURE 公式Webサイト(英語)

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