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ボドゲクリエイターがKickstarterを選ぶ理由って結局なに? 実例を交えて語られた講演「ゲーマーと制作者のためのKickstarter入門」をレポート
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印刷2023/08/02 13:25

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ボドゲクリエイターがKickstarterを選ぶ理由って結局なに? 実例を交えて語られた講演「ゲーマーと制作者のためのKickstarter入門」をレポート

 東京都立産業貿易センター台東館にて,2023年7月22日に開催されたアナログゲームイベント「CONNECT」内で実施されたステージイベントの中から,クラウドファンディングプラットフォーム・Kickstarterによるトークイベント「ゲーマーと制作者のためのKickstarter入門」の内容をお伝えする。

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Kickstarter 公式サイト

「CONNECT」公式サイト



企画が良ければ誰でもチャンスを掴める。失敗してもフィードバックを集めて再挑戦!


 ステージでは,まずKickstarter日本ゲームアンバサダーのMandy氏が登壇し,Kickstarterを用いたクラウドファンディングの方法や利点を語るところからスタートした。

Kickstarter日本ゲームアンバサダー Mandy氏
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 前提として,ボードゲームジャンルではかなりの数のタイトルが,クラウドファンディングを使って生まれてきている現状は,押さえておかなくてはならない。その数はデジタルゲームと比較しても多いほどで,ゲームをより豪華にするための小物から,重量級ボードゲームの開発まで,今日も多種多様なプロジェクトが生み出されている。
 中でも世界中で利用されているKickstarterは,今やボードゲームの一大プラットフォームと言って過言ではないほどだ。

Mandy氏はKickstarterを「クリエイターを支援するためのプラットフォームです」と強調した。資金調達そのものよりも,アイデアを実現するシステムとして最適化されているという
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 そんなKickstarterではあるが日本国内ではまだまだメジャーとは言い難く,実際に利用したことのある人は限られているかもしれない。そこで語られたのが,「詠天記」の制作者であるKEIMEI(啓銘)氏の体験談だ。氏はKickstarterを活用し,「詠天記」のローンチを成功させたのだという。

クリエイターのKEIMEI(啓銘)氏
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 「詠天記」は“天候予測×稲作”をテーマにしたボードゲームだ。プレイヤーは古代日本の指導者となって,稲作の収穫高を左右する天候を読みながら,自身の勢力を拡大して倭王(卑弥呼)を目指していく。天候にはそれぞれ異なる効果が設定されているので,それに合わせリソースの収集をいかに効率化していくかがキモとなっている。公式サイトでは日本語ルールブックも掲載されているので,詳しいルールを知りたい人はそちらをチェックしてみよう。

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「EETENKI / 詠天記」公式サイト

Kickstarter「EETENKI / 詠天記」
プロジェクトページ


 KEIMEI氏はもともとゲームクリエイターを志していたわけではなく,普通のボードゲームファンだったそうだ。思いついたゲームのプロトタイプを仲間内で楽しみ,それをイベントで販売したところ手応えを感じ,そこから製品化を目指すことになったのだという。

 そんな氏がKickstarterとそのほかのクラウドファンディングサイトの違いとして挙げたのが,「プロダクトファーストの文化」だ。
 制作者が開発に至るストーリーや思想への共感が重視される国産プラットフォームに対し,Kickstarterはプロダクトのアイデアや魅力が高く評価される傾向にあるとのこと。無名でも企画一本でプロジェクトの成功を目指せるのは,Kickstarterならではと言えるかもしれない。

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 また手数料が9.5%と比較的安価で,かつ成功しなければ手数料が発生しないAll-or-Nothing(達成時のみ支援金を受け取れる)方式が基本なため,初心者がチャレンジしやすいのも大きな利点として挙げられた。

 KEIMEI氏によると,「詠天記」のプロジェクトは実は2回行われており,1回目は失敗してしまったのだそうだ。その際,1回目のバッカーやKickstarterからアドバイスを受け,改めて始動した2回目のプロジェクトで成功を収めることができた。
 こういった“再始動”はKickstarterではそれほど珍しいことではないとのこと。プロジェクトを1度ローンチすることで各国のファンが増え,認知度が高まることで多角的なフィードバックを受けられ,失敗を次の挑戦に活かせるというわけだ。

 さらに,多くの日本人が懸念するであろう“言語の壁”についても言及された。KEIMEI氏は英語のプロジェクトページを用意するにあたり,自身で英文を書くことはしなかったという。プロジェクトページの文章は,そのほとんどがDeepLを用いた機械翻訳であり,最終的に運営側のMandy氏がチェックして公開された。こうしたサポートがすべてのプロジェクトに適用されるわけではないだろうが,利用を検討している人にとってはそうした実例があるだけでも,相談してみる価値はあると言える。

一般的な規格から外れるカードの採用など,コンポーネントにこだわったプロダクトが実現できるのもクラウドファンディングの強みだ。「詠天記」では金属製の“金印”が高額バッカー向けのリワードとして用意された
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 KEIMEI氏は現在,新作「SAMRISE / サムライズ」の開発に向けたKickstarterプロジェクトを準備しているとのこと。サムライとサイバーパンクをテーマにした作品で,多人数対戦が可能な剣戟バトルゲームになるようだ。すでにプレローンチページが公開されているので,気になる人はメーリングリストに登録しておこう。

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Kickstarter「SAMRISE / サムライズ」プロジェクトページ

KEIMEI(啓銘)氏 Twitterアカウント


 Kickstarterは,2023年5月に開催された「ゲームマーケット2023春」にも3年ぶりの出展を行っており,その際のインタビューにおいて,日本市場の開拓向けていよいよ本格的な活動を開始するとの展望を語っていた。
 すでに多数のクラウドファンディングプラットフォームが存在している日本において,Kickstarterがどんな展開を見せるのか。いちボードゲームファンとしても今から楽しみだ。
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[2023/05/31 08:00]

Kickstarter 公式サイト

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