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サイバーエージェントが見据える今後のゲーム開発とは。「CyberAgent Game Conference 2024」基調講演の模様をレポート
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印刷2024/03/07 15:40

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サイバーエージェントが見据える今後のゲーム開発とは。「CyberAgent Game Conference 2024」基調講演の模様をレポート

 サイバーエージェントのゲーム・エンターテイメント事業部(以下,SGE)は本日(2024年3月7日),ゲーム開発者に向けたオンラインカンファレンス「CyberAgent Game Conference 2024」を開催している。

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 このカンファレンスではエンジニアやクリエイターに向けた31のセッションが予定されているが,それに先だって,SGE主席クリエイターの竹田彰吾氏と,SGE技術統括本部 本部長の山田元基氏による基調講演が行われた。本稿でその模様をお届けしよう。

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 最初に登壇した竹田彰吾氏からは,「クリエイター組織のこれまでとこれから」が語られた。

 SGEはアプリボットやサムザップ,ジークレストといった,4Gamer読者にもなじみ深い9つのサイバーエージェント子会社からなっており,竹田氏は各社のクリエイターの責任者とともに事業運営にあたっている。

 そんな竹田氏は,SGEのクリエイティブ組織のビジョンとして「世界レベルのクリエイティブを安定して生み出し続ける組織」を掲げ,その実現にはSGEのクリエイティブがグローバル市場No.1であることはもちろん,複数の子会社からなる特徴を生かして,多種多様なジャンルで最高のクオリティを実現すること,さらに,モバイルゲームの肝である長期での成長を実現できる生産力が必要であるとした。

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 そのためにSGEがこれまで行ってきたこととしては,大きく「変化に強く成長し続ける組織地盤の構築」と,「全社でしかできない組織的な技術投資による武器の研磨」の2つがあるという。

 組織地盤の構築については,会社や事業を越えての勉強会や技術共有といったユニオン制の導入によって連携や技術力の向上を図るほか,役員や事業幹部に多数のクリエイターが入ることで,経営的な視点を強化。また,採用や育成といったところまでクリエイター自身が立案から実行まで行うようにし,自走組織としての文化を根付かせてきたそうだ。

 技術投資については,「UIUX Lab」や「3D FU-TECH Lab」といった専門の研究組織によって最先端の技術を取り入れるとともに,近年重要度が増しているコンセプト制作や技術検証,ワークフローの整備といった,開発作業の上流をサポートする「コアクリエイティブ本部」を設立している。
 また,コストメリットの最大化を図る取り組みも積極的に行われおり,海外スタジオの設立や海外パートナーとのネットワーク作りを行う部門や,テクニカルアーティストの新卒採用などでワークフローの進化を目指す部門が設立されているという。

UIUX Labは,ユーザーインタフェースやユーザーエクスペリエンスの研究組織で,この面での評価やノウハウ展開を行っている
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3D FU-TECH Labは3Dグラフィクスを専門とする組織で,現在は次世代のセルシェーディング技術研究や,AI導入によるワークフローの変革検証などを行っている
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コアクリエイティブ本部には,コンセプトワークやイラスト制作に特化したスタジオがある
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 竹田氏は今後のゲーム市場について,クオリティの高度化と,それにともなう開発コストの高騰は今後も続くだろうと分析し,表現の幅を広げることや,コスト面での抜本的な改善が必要だとした。
 また,AIやツールの進化によって,オペレーション作業が減っていく一方で,ディレクションや設計業務を行える人材の需要が増すと予測。ツールの進化やスキルのオープン化によってマルチクリエイターが増え,クリエイターの貢献の形も多角化が必要になるとも語った。

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 これを受けて,SGEではこれまでに行ってきたことに加えて,「プロダクトクオリティへの貢献度引き上げを狙ったスキル領域の拡大」「AIや最新技術の進化に伴う人材育成とスキルポートフォリオの変革」を目指すという。竹田氏は,戦略設計やディレクション,技術理解といった面を強化し,クリエイター自体のスキルを変革させたいとまとめた。

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 続いて登壇した山田氏は,「エンジニア組織のこれまでとこれから」を語った。

 現在,QualiArtsの取締役を務めながらSGEの技術組織を統轄している山田氏は,SGEのエンジニア組織のビジョンを「世界に誇れるSGE(すげー)開発力を追求する」ことだと語り,その実現には,グローバル市場No.1のプロダクトを生み出す技術力や,生産性を高める開発基盤,エンジニアが育つ成長機会が必要だとした。

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 それを実現するため,SGEが2020年に立ち上げたのが,子会社ごとの技術戦略とは別に定められた,全社的な「CROSS THE BORDER戦略」。これは職種やチーム,常識,個人の限界など,「あらゆる境界」を飛び越えて成長と成果を実現することを目指しており,「開発基盤の強化」「開発プロセスの最適化」「成長機会の提供」に注力しているという。

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 開発基盤の強化においては,複雑化するUnityのAssetBundleを基盤化した「Octo」,アドベンチャーパートの開発が容易になるスクリプトエンジン「Uguiss」,現在開発中のアニメーション制作ツール「Titan」といった43の開発基盤や,「NOVA Shader」や研修用書籍「Unity パフォーマンスチューニングバイブル」といったオープンソースソフトウェアを各社に提供している。
 また,子会社ごとに閉じていた基盤組織を全社化するためにコア技術本部を設立。グラフィックスや初期設計,パフォーマンスチューニングなど,さまざまな面でプロジェクトに特化したサポートを行えるようにしたという。

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 開発プロセス最適化の取り組みについては,プロタイプやα版,β版,CBTといった開発段階ごとにサポートを行うチーム「Smoogie」や,ゲーム開発のナレッジデータベース「すげナレ」が紹介された。

 成長機会としては,各社の技術戦略を発表・議論する「SGE TechNext会議」や,エンジニアの技術課題,組織課題に向き合う「CROSS THE BORDER!会議」,グラフィックスや未踏開発,開発効率化といった,さまざまな技術分科会「TECギルド」などが提供されている。SGE他社への技術留学制度や,技術書イベントの補助,勉強会登壇サポートといった取り組みも紹介された。

 山田氏は,CROSS THE BORDER戦略によるこれらの取り組みを継続して,さまざまな技術的チャレンジを行い,先進的なツールやプロセスで開発力を強化するとともに,組織を自分たちで作るエンジニア文化を養成して「どんな事業にも対応できる変化対応力を持つ技術組織」となることを目指すと語り,講演をまとめた。

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CyberAgent Game Conference 2024公式サイト

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