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[インタビュー]ハピエレ初の恋愛ノベルアプリに込められた想いや制作秘話を「六ツ獄恋いろは」開発メンバーに聞く

 あんさんぶるスターズ!!Basic/Music「メルクストーリア」iOS / Android)などのヒット作で知られるHappy Elementsが,2023年10月30日,同社のカカリアスタジオ初となる恋愛ノベルアプリ「六ツ獄恋いろは」iOS / Android。以下,「六ツ恋」)をリリースした(関連記事)。

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「六ツ獄恋いろは」公式サイト


 10月2日に初報が発表され,大きな反響を呼んだ本作は,いかにして作られることになったか。今回4Gamerは,「六ツ獄恋いろは」の開発経緯や制作にまつわる裏話などをチームメンバーに聞く機会を得たのでお伝えしよう。

■「六ツ恋」開発メンバー
プロジェクトリーダー:S.T氏
コンテンツプランナー:M.T氏
ゲームデザイナー:N.T氏
シナリオライター:K.T氏
イラストレーター:Y.M氏


初の恋愛作品「六ツ恋」は,
社内プレゼンでも大反響があった!?


4Gamer:
 「六ツ恋」の発表時はかなりの反響がありましたね。私も大いに驚いた1人ですが,ユーザーの声を聞いていかがでしたか。

S.T氏:
 正直なところ予想以上でした。このあと開発の経緯でもお話ししますが,もともとはかなり小規模で始まったプロジェクトだったんです。にも関わらずユーザーさんからは大きな反響をいただいて素直に驚きましたし,ありがたいと思いました。

M.T氏:
 「乙女ゲーム」と銘打ったことで,それまでこうした系統のコンテンツに触れることがあまりなかった方からも興味を持ってもらえた感触がありました。とても幅広く反応していただいたと感じています。

4Gamer:
 実は,チームの皆さんはほかにも担当タイトルを抱えながら,“二足のわらじ”で「六ツ恋」を制作されたそうですね。それをうかがって本当に驚きました。

S.T氏:
 大変でしたが,無事にリリースできてほっとしています。

N.T氏:
 制作には思ったより時間がかかってしまいました。この人はこの月に1日だけ時間を取れそうだからやってもらいましょう,とか。プロジェクトメンバー以外の人にも,「この1か月のどこかで手伝ってもらえませんか」と声をかけたりと,あの手この手で人手を確保していました。

S.T氏:
 「六ツ恋」は一部デバッグ作業などを除き,基本的に開発に関しては,音楽も含めてすべて社内で行いました。社内にいるいろいろな人の力が集結して,出来上がった作品なんです。

4Gamer:
 では本作はいつごろ構想され,どのように制作されていったのか,経緯をお聞かせください。

S.T氏:
 スマートフォンゲームの市場が大きくなり,1本にかけるコスト,時間,人数が多くなってなかなか新しいものが出せないなか,弊社では2,3年ほど前に「サブプロジェクト制度」が作られました。小さなものからコンテンツを作る目的で始まったもので,普段担当しているタイトルや業務とは別に新しい取り組みをやってもいいよ,と会社が推奨してくれる制度です。

 僕は以前からエンジニアと一緒にカジュアルゲーム的をいくつか制作していたんですが,ちょうど「次は何を作ろうか?」と考えていたとき,M.TさんとN.Tさんから「こういうものを作りたい」とお話をもらいました。

M.T氏:
 企画のアイディア自体は2021年の頭くらいでしょうか。N.TさんとY.Mさんの間で,“学園もので,妖怪のイケメンと恋愛する”という設定について話していると聞きました。それで私も,雑談のなかで具体的な年齢設定やクラスなどを提案したんです。

 話が具体的になってきたので,「せっかく『サブプロジェクト制度』があるし,この制度を利用してアプリを作ることを目指そう」ということになりました。新しいことをするなら恋愛系や乙女ゲームが向いているね,などイメージが固まりやすかったので実現に至るまでのスピード感としては比較的早かったですね。

4Gamer:
 雑談ベースの話から企画が立ち上がったということですね。ここ数年,いわゆる乙女ゲームは少しフィールドが狭まっているというか,限られた人だけがやる感じになっていたことも意識されましたか。

M.T氏:
 はい。自分がそういった系統の作品に触れる機会が減ったように感じていて,若い人にとってはさらにそうじゃないかと考えました。

N.T氏:
 そうした状況でも,ライトにキャラクターとの恋愛を想像するような楽しみ方は広がっている印象があったので,そういう需要に向けてのゲームを作れるといいなと思いました。

4Gamer:
 御社にとって初の恋愛ものということですが,社内での反響はいかがでしたか?

N.T氏:
 企画について最初に会社に伝えたときは,ぜひ挑戦してほしいという感じだったんですが,その後に方向性を確認するとき,1枚だけ絵を制作したんですね。ティザーでも出しているキスシーンのスチルです。

初出時に公開されたティザービジュアル(関連記事
画像集 No.016のサムネイル画像 / [インタビュー]ハピエレ初の恋愛ノベルアプリに込められた想いや制作秘話を「六ツ獄恋いろは」開発メンバーに聞く

N.T氏:
 チームレターでも書きましたが,本作で重きを置いている「体温が2度上がる体験」を表現できるものを絵で見せようと。社内でここまで恋愛描写が強いイラストを出したことがなかったので,かなりインパクトがあったようでザワつきました(笑)。

M.T氏:
 「本当にこういうものを作るのか!」という温度感でした。

4Gamer:
 社内でも驚かれたんですね。このイラストはY.Mさんが手掛けられたんですか?

N.T氏:
 はい。とはいえ良いものを出すにはとにかく案をたくさん出そうと,この感じに決めるまでもかなり試行錯誤しました。チーム内でイラストの相談をしていたメンバーの中で,「ペンタブがあってイラストが描ける人は全員構図を出して!」と,コンペのような形にしたんです。

Y.M氏:
 それでまず,私の描いた構図が採用になりました。

N.T氏:
 塗りに関しても「塗れる人は全員塗って!」と声をかけ,ビジュアルの方向性を決めていきました。

S.T氏:
 これまで社内ではノベルゲームを作った経験がなく,「本当にこれで大丈夫なの?」という心配の声もあったんです。なので開発を始めて最初のころに社内向けに自分たちが作ろうとしているものを確認してもらう会みたいなものを設けて……確かそのとき,シナリオについても見せましたよね。あのスチルの前後のストーリーも含め,会議室の大画面に映して。

4Gamer:
 それを社員の皆さんで見守ったわけですね。なかなかの光景だったのが想像できます……!

S.T氏:
 最後,社長に「体温は2度上がりましたか?」と聞いて(笑)。あのときの反応で「いける!」と確信しました。

M.T氏:
 イラストという実物があって,コンパクトに体験できるものを最初に作れたので,この形で最終的に完成していくんだなというのも見えました。作っている側としても手応えが感じられました。

4Gamer:
 そうだったんですね。シナリオをK.Tさんが担当することになったのはどのような経緯があったのでしょうか?

K.T氏:
 確か最初は,M.Tさんに直接お話をいただいた感じでした。

M.T氏:
 今回はコンパクトに少人数でゲームを作る環境だったこともあり,もともと別のタイトルを担当されていたK.Tさんに書いていただくことにしました。K.Tさんからも,いわゆる女性向けでイケメンが出てくるようなストーリーを書いてみたいというお話を聞いていたこともあって,このタイミングでお声がけしました。

 社内には乙女ゲームのシナリオを書いたことがある人もいたんですが,あえてそうではない人にお願いするのも,新しいテイストになるんじゃないかという期待がありました。もちろん,そのぶん苦労された面もあるのですが……。


少数精鋭で作られた「六ツ恋」。
制作秘話について聞く


4Gamer:
 それでは,作品について具体的にお聞きしていきたいと思います。まずは「六ツ獄恋いろは」というタイトルに込めた意味があれば教えてください。

N.T氏:
 こちらもみんなで案を出していったんですが,決まったのはプロジェクトの終盤でした。学校の名前が「六ツ獄学園」というのは最初からあったので,タイトルは良い音感やキャッチーさを重視しました。

S.T氏:
 内容的に「恋」と入っていたほうが分かりやすい,という意見もありましたね。

M.T氏:
 乙女ゲームが初めての人でも遊べる作品,という意識が根底にあったので,乙女ゲームが初めての若い年齢層の方にも親しみやすいようにと考えました。「六ツ獄」のインパクトが強いので,文字の見た目も柔らかさを出そうと。確かみんなで100個くらい案を出しましたよね?

N.T氏:
 「六ツ獄○○」という案だけでもかなりありました。

M.T氏:
 ビジュアルも紫っぽいダークな雰囲気で,でもキャラクターの見た目はわりとかわいい感じだと思います。シナリオは意外とラブコメディな部分もあるので,あまりカチッとしたタイトルだとギャップが大きいかなと。ストーリーの温度感も考え,みんなで話してこのタイトルに決定しました。

4Gamer:
 「六ツ恋」という略称も含め,呼びやすく良いタイトルですね。では,世界観やキャラクターデザインについてはいかがでしょうか。大まかな設定は,最初にN.TさんとY.Mさんで話していたということでしたが……。

N.T氏:
 まずは“妖怪退治学園もの”という「少年漫画っぽい世界観で恋をする」ことが,漫画やアニメの好きな女の子の1つの夢として分かりやすいかなと考えたんです。個人的にそういうのが好きだというのもあります。

Y.M氏:
 キャラについては大まかな設定をM.Tさんからいただいてデザインしましたが,絵柄は私の普段の絵に近いです。先ほども話に出ましたが,今は乙女ゲームをしたことがない層も多いけど,比較的ライトにキャラクターとの恋愛を想像している方もいる感じですよね。そうした方にもとっつきやすい絵柄を目指しました。

 乙女ゲームは頭身の高いキャラが多いんですが,少年漫画やアニメらしさのようなところに合わせて,もう少しライトに推せるかっこよくて可愛い感じが受けるのかなと。メインキャラの制作の順番としては,最初に描いたのが(月読)尊人,次に(御雷)威瑠,(誘鳴)スゥの順番でした。

4Gamer:
 意外です,最初は威瑠かと思いました。

M.T氏:
 まずはベーシックなイメージのキャラより,一番恋愛の情熱度が高そうなキャラを最初に描いてもらったほうがいいと考えたんです。そのほうが,身近なイメージのキャラとの幅も出せると思いました。それで,女子に人気の高そうな色っぽいキャラからお願いしています。

N.T氏:
 結果的に,ストーリーはみんな情熱的な感じになったんですけどね(笑)。

4Gamer:
 ギャップが楽しみです。衣装の草案はM.Tさんだそうですが,どのような点にこだわりましたか。

M.T氏:
 妖怪というところから「六ツ獄学園」というベースがあり,ダークな要素や日本神話をモチーフとしたイメージなど,本作は和の要素も強くなっています。それで衣装も純和風にすると,あまり今どきの人には馴染みのない世界感になってしまうかなと思い,制服など現代的要素を入れました。ファッションの流行でもピンクや紫,ネオン感といった中華風の流行りもあったので,そことも組み合わせて独特の雰囲気を作りました。

4Gamer:
 すてきなデザインですよね。乙女ゲームのなかでも,ヒロインの見た目を曖昧にする作品もあればその逆もあります。本作のヒロインをしっかりとデザインしようと思ったのは,どういった理由からでしょうか。

白山久々李(しらやま くくり)※名前変更可能
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N.T氏:
 ちゃんとヒロインの顔まで出すことになったのは,それこそ最初の1枚を描くときでした。乙女ゲームらしいイラストを作ろうとすると,どうしても男の子と距離が近い絵が欲しくなってくるんですよね。そうすると,ヒロインにもビジュアルがあったほうが絵として成立するなと。

 もちろん,ヒロインの顔が分からないことでの没入感を大事にするという方向性もあると思うんですが,今回はイラストのクオリティや情報量を上げるため,「この瞬間,ヒロインはどういう感情なのか」を表現したいと思いました。

M.T氏:
 乙女ゲームのヒロインですと,清楚だったりナチュラルだったりするイメージが多いと思うんですが,この5人の男の子たちとバランスを取ろうと思ったとき,やっぱりヒロイン自体にも特徴が必要だと感じたんです。制服が中華風なので,そこに寄せた要素としてお団子のヘアスタイルにして,かわいらしく見えたらいいなとデザインしていきました。

4Gamer:
 ヒロインも人気が出そうですね! そんな彼女をめぐる5人の男の子たちですが,攻略対象を3人にしたのはなぜでしょうか。

M.T氏:
 これまでにも何度か出てきましたが,「六ツ恋」はサブプロジェクトで進めた企画ということで,コンパクトに制作し,カジュアルに遊んでもらうという目標がありました。なので,最初は完成品と言える最小限のボリュームということで,過半数のキャラにルートを用意する形にしました。

S.T氏:
 カジュアルなアプリとして出すことには,結構メリットがあると考えています。スマートフォンゲームのクオリティがどんどん上がり,内容もボリュームも大きくなっていった結果,新しいコンテンツがなかなか出てこなくなっていて,さらにその中でもオリジナルの世界観のゲームとなると,成功確率が低いと判断されてそもそも作らせてもらえないことも多いんじゃないかと思います。

 ただ,カジュアルアプリであればもう少し気軽に作って出すことができます。ユーザーさんにまずは見てもらうことができるわけです。弊社でも規模の大きいタイトルはもちろん作っていますが,それと同時に新しい企画やゲームを作ること,出すことへのハードルを下げたいという考えもあって,今回はこのような形になりました。

M.T氏:
 とはいえ,夜叉丸と香楽にもルートを作れるくらい詳しい設定は存在しているので,機会があればぜひ作りたいです。

S.T氏:
 コンパクトに作るといいつつ,他のプロジェクトでも元々忙しくなりがちなメンバーばかりなので,思っていた以上に難航しました。サブプロジェクト制度自体も,「六ツ恋」の開発で苦労した所を参考にアップデートされていっているので,今ならもっとスムーズに進められるかもしれません。

4Gamer:
 本当に大変な作業だったと思います。いただいた資料でスチルを拝見しましたが,ヒロインとのスチルのなかには刺激的なものもあるなと感じました。最初の1枚だったというキスシーンもそうですが,年齢制限的なところはないんですよね……?

M.T氏:
 全年齢ですが,内容としては刺激的な部分も結構あると思います。描写の細かい表現をこだわったといいますか……。イラストは健全な範囲を保っていますが,ストーリー的にはちょっとドキドキする展開や描写があちこちに散りばめられていると思います。

S.T氏:
 我らの思う「健全」がどこまでかという話にもなりそうですが……!

M.T氏:
 刺激の度合いでいうとティーンズっぽい感じでしょうか。10代の少年少女たちの葛藤や,燃え上がる情熱感があるイメージです。


攻略対象キャラ3人の見どころを聞いてみた!

御雷 威瑠(みかづち たける)

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「威瑠は一途な幼馴染という感じで,恋愛も甘酸っぱい雰囲気になっていると思います。ほかの2人に比べるとコミカルな一面も多めですね。親しみやすさがあり,楽しく恋模様を追いかけていただけたら。バトルシーンもしっかりあるので,楽しんでもらえたらうれしいです」(K.T氏)

「最初から友達以上の関係性があり,日常から恋人に近づいていく過程が見どころです。ヒロインとは同い年ですが,立ち位置としては1歩先をいくお兄さんなので,大切なヒロインとの距離を詰めてもいいのかといった葛藤も。威瑠視点もすごく情緒あるストーリーになっています」(M.T氏)

「社内の男性人気も威瑠くんが一番高かったと思います!」(S.T氏)

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誘鳴 スゥ(いざなき すぅ)

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「見た目はぽやぽやした感じですが,仕事になると淡々とこなしていくタイプです。学園でも任務に行くか修行しているか,お昼寝しているかという。ストイックな性格なので,そこに絡んでいくヒロインはかなり頑張ることになります。仕事に関しては師匠と弟子みたいな関係性で,スゥ自身も戸惑いつつ恋愛が始まっていく雰囲気を楽しんでいただけたら」(K.T氏)

「スゥに関しては『初めまして』から始まるので,お互いのことを知っていきながら大切な存在になっていく過程が楽しめるかと思います」(M.T氏)

「スチルも好きです。全然こちらを頼ってこないようなエリートが魅せる弱みというか(笑)。芯が強くてブレない普段の姿とイチャイチャしたシーンのギャップも魅力です」(N.T氏)

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月読 尊人(つくよみ みこと)

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「『意地悪なところもある先輩』という設定をいただいていたので,シナリオでは恋の駆け引きっぽいところを出しています。ただ尊人はいろいろと抱えているキャラなので,彼の内面に踏み込んでいくなかで,実はどんなことを考えているのか,何を望んでいるかを意地悪されたりからかわれたりしつつ知っていきます。振り回したり振り回されたりといったところが見どころだと思います」(K.T氏)

「三者三様ではありますが,尊人ルートは飄々としたキャラに翻弄されながら,お互いという存在を紐解いていくドラマ性がありますね」(M.T氏)

「スチルからも分かるとおりセクシーな面もありますが,弱みを見せてくれるようなところがたまにあったりして,それがとても良いんです」(N.T氏)

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妖怪と始める恋!
ゲームシステムはどんな感じ?


4Gamer:
 カジュアルノベルゲームである本作のストーリーは,選択肢による分岐もあるそうですね。

N.T氏:
 はい。途中に選択肢があり,それによって会話やそのあとのストーリーが変わります。また,親愛度と信頼度という2つのパラメータがエンディングに影響し,それによって1人のキャラにつき2種類のエンディングのどちらかになります。選択肢の数自体は,一般的な乙女ゲームよりも少ないほうだと思いますが,恋愛体験として,自分の行動による相手の反応というのを見られる場面は欲しいなと思い,入れています。

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4Gamer:
 例えばビジュアルを見て「この子がいいな」と思って読み進めたとき,そのキャラのルートに進むのは難しくはないのでしょうか。

M.T氏:
 誰のルートに進むかは迷わず選べるようになっています。バッドエンドもありませんし,普通の友情エンドもなく,2種類どちらもほどよく甘さを感じられるストーリーになっています。情熱的なほうがお好みなら,親愛度を上げていくと読める「ラブエンド」がいいかもしれません。

4Gamer:
 誰とも結ばれない,いわゆる“ノーマルエンド”的なルートもあるのでしょうか。

N.T氏:
 ありません。序章として共通ストーリーがあり,共通ストーリーの最後の選択肢のどれを選ぶかで,必ずいずれかのキャラのルートに進んでいきます。

S.T氏:
 ノベルゲームなので,基本はやっぱり1人のキャラクターのストーリーをしっかり読んでいただけるシステムになっています。それで2つのエンディングのうちどちらにいくかだけが変わるイメージを持っていただけたら。

4Gamer:
 お話を聞いていると,どのキャラも魅力的で選べないな……! と感じたのですが,読むのにおすすめの順番はありますか?

M.T氏:
 誰から読んでも大丈夫なので,気になったキャラがいたら,そこから気軽に読んでいただけたらと思います。むしろ,どのキャラのルートを読み進めていても,ほかのルートのキャラの良さも感じられるような中身になっています。また,ヒロインの行動力の違いみたいなものも,ストーリーを読むうえでの楽しみになるかと思います。

4Gamer:
 攻略対象以外の2人(常呼 夜叉丸/とこよ やしゃまる,天ツ神 香楽/あまつかみ かぐら)が気になる人も多そうです。

N.T氏:
 夜叉丸はヒロインより1つ上のお兄さんで,怒りっぽいけどちゃんと面倒を見てくれます。けっこうかわいいというか,コミカルなやりとりが良いですね。

常呼 夜叉丸(とこよ やしゃまる)
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M.T氏:
 香楽はリーダー的な存在なので,共通部分のほかどのルートにも登場するかっこいいお兄さんなんですよ。

天ツ神 香楽(あまつかみ かぐら)
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N.T氏:
 個人的には尊人ルートの香楽がかっこよくておすすめです! とはいえ本当にどのルートもおすすめで,攻略中のキャラ以外のやりとりも多いですし,それぞれの物語でキャラの見え方も変わってくると思います。もちろん,一番攻略したいキャラをメインに楽しんでいただくのがいいと思いますが,自分の好きなキャラがほかのルートではどんなふうに見えるのかも面白いかなと。

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S.T氏:
 そういえば,本作はキャラの表情がかなりたくさんあるのがうれしいなと思っています。すごく細かい差分が,1キャラにつき40から50くらいあるんです。

M.T氏:
 キャラの感情の情報を伝えるのが表情だけのところもあるので,みんなで「このときはこの感情だから,もう少しこういうニュアンスの表情に」と言っていたら増えましたね。

N.T氏:
 BGMも想定より増えました。作中の雰囲気作りにとても重要なので,ライターと密に相談しながらBGMの作成や場面ごとのチョイスをこだわりました。例えばヒロインが落ち込むシーンがあるのですが,そこをあえて明るめの曲にしてみたりしています。そういった部分で,テキスト以上に心情が伝わりやすくなっていると思います。ヒロインはくよくよしすぎない前向きなキャラなんですよね。

M.T氏:
 作品の全体的なイメージとしては,コメディっぽい感じで捉えて読み進めていくと,恋愛のシーンでドキッとする感じです。少女漫画的なところがあるので,例えるなら「ちゃお」といったイメージでしょうか。そういう意味では,漫画アプリのようなカジュアルさで読んでいただけると思います。

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N.T氏:
 1日5チケット(本作では「手鏡」)で読めるというところも近いですよね。

4Gamer:
 確かに! では,一度読んだストーリーは何度でも読めるのでしょうか。

S.T氏:
 はい。一度読んだストーリーについては,再度チケットを消費せずに読み返せます。1話ずつチケットで開放していくこともできるんですが,まとめて読みたい方向けに,一気に開放することも可能です。

N.T氏:
 大まかにですが,1ルート開放するのにだいたい文庫本1冊より安いくらいのイメージですね。

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4Gamer:
 いいですね。このほか,システムについてお話ししたい要素はありますか。

N.T氏:
 ゲーム内では,スチルが動くようになっています。スチルはけっして多いわけではないので,一つひとつを大事な体験にしたくてこだわりました。そのため,アニメーターさんにも協力していただいたんです。

M.T氏:
 スチルがアニメーションつきで表示される演出は,ノベルゲームアプリではそれほど見ないのではないかなと。ここでも新しい体験をしていただけるかと思います。


「六ツ恋」今後やってみたいこと,
作品への想いについて


4Gamer:
 このインタビューの時点ではまだリリース前ですが,今後追加のシナリオやサブキャラクターのルートが入る可能性はあるのでしょうか? お話しいただける範囲で,ぜひ。

S.T氏:
 まだ計画があるわけではないのですが,社内から応援を受けていますし,メンバー的にもいろいろと追加できたらいいなという気持ちはすごくあります。

M.T氏:
 多くの方にプレイしていただいいて,感想やポジティブなご意見などもたくさんいただけると,夢が現実になる可能性が近づくのではないかと思います。気軽に遊んでいただき,「早く次のキャラのルートがほしい」と感じていただけたらうれしいです。

4Gamer:
 そうですね。少し作品自体の話に戻ってしまいますが,本作でボイスをつけなかったのはどういった理由からでしょうか。

M.T氏:
 声をつけたほうが宣伝効果はありますし,興味を持ってもらえる機会も多くなるとは思います。でも乙女ゲームを初めてプレイする人のために,我々も初めて乙女ゲームを制作しているということもあり,ボイスがなくても十分楽しめるコンテンツとして,どれだけ楽しんでいただけるかを試したいという気持ちがあります。

 あとは,世界観やデザイン,ストーリーもそうですが「六ツ恋」では漫画っぽい要素を重視しているので,最初に見せるものとしてボイスは必須ではないかなという考えもあります。読んでいるときに,頭の中で勝手にイメージする声が正解ということもあるんじゃないかなと。

 ただ,今後の反響によっては追加も検討したいと考えてはいます。

4Gamer:
 御社としての挑戦作というところも大いにありそうですね。

M.T氏:
 はい。そうですね。ターゲット層の挑戦としても,Happy Elements社内だけで制作できるコンテンツとしてもそうです。

S.T氏:
 弊社としても,この「六ツ恋」に限らずほかにもいろいろとライトなコンテンツを出していけたらと考えています。社内でも「こんなゲームを作りたいね」というような話はよくしているので,まずは第一弾として出る「六ツ恋」への皆さんの反響を楽しみにしています。

M.T氏:
 こうしたカジュアルなゲームを作るのは今後もやっていきたい方針ではあるので,「六ツ恋」以外にも,皆さんにプレイしていただけるタイトルをお届けできるかなと思います。

S.T氏:
 大きなタイトルも開発中ではありますが,それだけ作っていると,我々も年単位でまったく動きが取れなくなるんですね。もっとカジュアルに作って味わっていただく流れを作りたいです。召し上がった感想をぜひ聞かせていただけたら!(笑)

4Gamer:
 それでは最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。

S.T氏:
 カジュアルノベルとして打ち出してはいますが,制作したメンバーの情熱が詰まったアプリになっています。どのルートも最後まで読んでいただけたらうれしいです。よろしくお願いします!

K.T氏:
 シナリオの面では,人間ドラマや恋愛,コメディやバトルなどインド映画のように(笑)いろいろな要素を詰め込ませていただきました。表情やスチルに加えて,背景や効果音,エフェクトなど演出面も,各担当の方々の尽力でとてもステキなものになっているので,総合的にぜひ楽しんでいただければうれしいです。

Y.M氏:
 キャラデザやキービジュアルで,早くも「かっこいい!」「かわいい!」などの感想をお聞きしてすごくうれしいです。皆さんがシナリオを読んでキャラをもっと好きになったり,好きなキャラが増えたりしたらいいなと思っています。

N.T氏:
 いろいろとお話ししましたが「六ツ恋」は,とにかく「ストーリーが良い」です。個人的にもすでに人生で好きなお話の1つになっています。カジュアルに読んでいただけるように作ったので,まずはぜひ読んでみていただければと思います。

M.T氏:
 気軽に始めていただき,興味のあるキャラが1人でもいて,その子を気に入ってもらえたらうれしいです。もちろん3人のルートを全部読んでいただければ「六ツ恋」の世界観が分かるようにもなっているので,ぜひどの物語も楽しんでもらえたらうれしいです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました!

――2023年10月23日収録

「六ツ獄恋いろは」公式サイト

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  • Happy Elements
  • 発売日:2023/10/30
  • 価格:基本プレイ無料+アイテム課金
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