インタビュー
ZUNTATA 30周年記念インタビュー。現&元メンバーの10人が,VGM黄金期の思い出や未来の展望などを語った
ZUNTATA 30周年記念盤「reZonance world」
4Gamer:
これからの活動についてお聞きします。まず「reZonance world」がリリースされますが,25周年アルバム「COZMO 〜ZUNTATA 25th Anniversary〜」のとき,ある媒体のインタビューで石川さんが「30周年は,ひっそりやろうかな」とコメントされていました。実際いかがでしたか?
石川:
そんなこと言ってたみたいですね(笑)。
「COZMO」は参加者の皆さんにオリジナル曲を書いてもらったりしたので,ある意味で冒険したアルバムでした。今回の「reZonance world」は“ファンの側に立ったアルバム”ということをコンセプトにしているので,そういう意味では前より尖っていないかもしれませんが,30周年という括りとしてはちょうどいいかなと思っています。
ただ,アレンジコンテストとか人気投票とか,これまでになかった冒険的なことはやったので,そんなにひっそりとはしませんでした。
4Gamer:
「reZonance world」は,Disc 1が“ZUNTATA NIGHT 2017”というクラブミックス盤となっていますね。他ではあまり見ない形ですが,何故こういったスタイルにされたのでしょう。
COSIO:
ZUNTATA在籍中に,昔のアルバムをいろいろ聞いていたんですけれども,その中に1999年にリリースされた「ZUNTATA NIGHT」というクラブアレンジアルバムがありました。これに衝撃を受けて,僕もやりたいと思っていたんです。
ZUNTATA在籍時にはそれができなくて,石川さんに「心残りなんですよ」と話したら,「じゃあアルバムを作ろうか」みたいな話になりました。それをいつ作ろうかと話し合っていたのですが,「そういえば30周年なんだけど,その記念アルバムに載せちゃおうよ」という話になりまして。ただ当初は,この“ZUNTATA NIGHT 2017”を単品で発売して,それを皮切りに30周年アルバムにつなげるという予定だったのですが……まあ,いろいろあって(笑)。
石川:
企画をドッキングしたわけです。あと,COSIOは「グルーヴコースター」のファンに人気があって,“新しいZUNTATAリスナー”から評価が高いコンポーザーです。なので,その新しいリスナーと30周年を迎えるZUNTATAというものを結びつけるには,COSIOがいいかなと思いました。Disc 1は全てCOSIOのリミックスで,新しさもあり懐かしさもあるという形にしたかったんです。
COSIO:
あと,1999年の「ZUNTATA NIGHT」も今聴くと音が古かったり,曲も当時の人気曲だったりするので,今風のクラブミックスや新しい曲のアレンジを提供したいと思っていました。
4Gamer:
どのような曲がピックアップされているのでしょう。
石川:
基本的には人気投票で上位に上がっていた曲をピックアップしつつ,あとはCOSIOの好きな曲ですね。
最初は定番寄りにしていたいんですけど,「せっかくやるんだから,お前の好きな曲を入れろよ」みたいな話を石川さんからいただいて。ランキング上では順位がそれほど高くないけど僕が好きな曲,例えば「影の伝説」,あと「トップランディング」や「エレベーターアクション」の曲を入れてます。
最終的には,定番曲と僕の好きな曲が半々くらいのトラックリストになったので,僕としては結構いい感じになっているんじゃないかなと思っているんですが……石川さん,いかがでしょう?
石川:
いいんじゃない?
COSIO:
いいそうです(笑)。
石川:
これに入る「Dual Moon」は聴かせてもらっているけど,あれってZUNTATA NIGHT(※)でYack.さんに出てもらったときにCOSIOが作ったアレンジが元になっているの?
※タイトーが配信するWeb番組。Yack.氏が出演し,COSIO氏が番組中のアレンジに挑戦したのは第3回(公式レポート)。
Yack.:
あの「インフィニティジジーン」対抗策の(笑)。
石川:
「デュアルムムーン」でしたっけ。
COSIO:
そうです。あのときは完全にネタで作ったんですけど,せっかくなのでいろいろ手を加えました。
4Gamer:
Disc 2に関して,収録曲を選ぶ人気投票の結果について感想をうかがいたいのですが,いかがでしょうか。
石川:
今回の人気投票をして,1位が「DADDY MULK」でなかったのがファン的には驚きだった……。というか僕ら的にも驚きで。その反面,新しい曲が認められて良かったなというのもあって,すごく印象的ですね。
あと,実は“小倉無双”になることをちょっと恐れていたんです。もちろん小倉さんの曲はすごく多いんですけど。
4Gamer:
実際,20位以上は半分が小倉さんですからね。
石川:
それでも十分バラけたと思ってます。例えば5位が高木さんの「START〜URBAN TRAIL」,6位がYack.さんの「Born to be free」,14位がSHUの「SHININ' QUEEN」と,いい感じにコンポーザーのバリエーションが豊富なので,やって良かったですね。あと20位にCOSIOの「Invader GIRL!」が入ってたり。
COSIO:
ようやく自分の曲が来て良かったなと(笑)。
石川:
あと,土屋(昇平)の曲がかなり入っているので,それは非常にありがたいですね。今日は同席できませんでしたが,彼は今のZUNTATAを代表するコンポーザーですから。新しい曲も古い曲も入っていて良かった。それに尽きます。
4Gamer:
ところで収録曲で気になったのが,トラック24の「J.A.M.の電車で電車でGO!GO!GO!」……これはランキングでは50位だったわけですが,急浮上してトラック入りという。
石川:
とりあえず電車は入れとかないと……やっぱりね? 一応,ZUNTATA30年間の歴史における最大のヒットソングなので。あと,僕の持ち歌だし(笑)。
(一同笑)
4Gamer:
選外になったものの推したい曲と,自分の曲でファンに改めて聴いてほしいものがあれば教えてください。
石川:
僕が推すのは,まず「ラスタンサーガ」の「Aggressive World」。あと「レイメイズ」や「ドンドコドン」,「キャメルトライ」のテーマ,「アウトバースト4D」の「FUTURE EXPRESS」,「ファイターズインパクト」の「Be Cool」,「武刃街」の「幻影無情」,「私のハッピーマナーブック」の「Happy Smiling」……けっこうありましたね。僕はメロディを覚えやすくて口ずさめるような曲が好きなので,こんな感じです。
「Happy Smiling」はいいですよね。なんで,あの後ああいう曲を書かないの?
COSIO:
「私のハッピーマナーブック」って女性向けのオシャレな感じのゲームでしたけど,ああいう女性向けのゲームが,その後なかったんですよ。
石川:
女性向けだからというより,メロディがいいじゃん?
COSIO:
あのときはまだ汚れていなかったので,ストレートにメロディを出せたんじゃないかなと(笑)。
皆さんも,曲をいくつも作っていくとストレートな曲って書きにくくならないですか? 例えば僕は,ずっと同じ調でやっているとありきたりなメロディになりそうだから転調入れてみるか……といった感じで,どんどん分かりにくくなっていくスパイラルに陥るんですが。
Yasko:
分からんこともない(笑)。私が推すのは「ラスタンサーガ」の最初の曲……タイトル分からないんだけど。
石川:
僕がさっき言った「Aggressive World」ですね。
それか。あれ,好きですよ。
あの曲を聴くと,高木さんが徹夜しているイメージがふつふつと甦ってくる……高木さんがゲッソリした顔で,トイレに行くとき以外出てこないぐらいの勢いで録音ブースにこもってる。それを思い出すし,あの曲は個人的にすごく好きです。自分の曲での推しは,「バブルシンフォニー」のボス。「魔王どらんく」かな?
COSIO:
僕が推したい選外曲は「SPACE遣隋使」収録の「お前に激ラブ」です。って言うか,「SPACE遣隋使」は全体的にもっと推したいんですけど。
石川:
もともと「お前に激LOVE」は「SPACE遣隋使」の曲じゃないんだけどね。
なかやま:
「クイズシアター 3つの物語」のインスト曲でした。
COSIO:
あれは一日中聴いているくらい好きだったのですが,「SPACE遣隋使」の曲がベスト50に入ってないのは残念でした。
あと僕が大好きなTAMAYOさんの曲で,「Into Darkness」も推したいなと。この前の「Ray’z Music Chronology」のイベントでも最後に「Into Darkness」をかけたんですけど。あれは最初に暗い感じから入ってきて……サビで一気にメジャーに転じる。
なかやま:
あそこの気持ちよさはすごい。「Into Darkness」は,とくに1994年にやったライブで改めて「やっぱりいい曲だな」と思いました。
石川:
「Into Darkness」をライブでやったのはあのときだけ? あれ,すごく難しい曲なんだよね。
TAMAYO:
2回くらいやったと思う。メロの変なやつ自分でも弾いたもん。
(一同笑)
COSIO:
「変なやつ」って,自分の曲ですよ(笑)。
TAMAYO:
難しいやつね(笑)。練習したよ。
COSIO:
“ZUNTATA LIVE 1998 「güten Talk」 from the earth”でやりましたね。そのバージョンも好きなんですよ。
自分の曲で推したいのは,店舗用BGMなので,ある意味では一番広まった「We Love Game! TAITO STATION」です。もう1つ,「グルーヴコースター」の「Groove Prayer」がランクインしていないので,僕としてはもうちょっと推したいなという気持ちがあります。
下田:
「お前に激LOVE」は私も好きですね。あれは玄人ウケする曲かなと……あと歌詞がいいですね。
作詞は私がやってます。頑張りました(笑)。
下田:
ストーカーみたいな歌詞ですよね。あれは何か,そういう気持ちになるようなことが……?
石川:
ないだろ(笑)!
なかやま:
でも,自分なりのエロティックさは表現したつもりです。ただ,あれは勘違いしてるんです。自分の妄想の中だけでエロティシズムが展開されている。完全にストーカー。
COSIO:
あと,間奏に入る寸劇。あれもなかやまさんが?
なかやま:
そう。で,しゃべりはうっちー(内田氏)が。
内田:
ああ,なんかやったね! 「どちらさんすか? 自分こういう電話,一番ムカつくんですけど」って,やったやった(笑)。
なかやま:
その台詞の後に,「知らないはずよ〜」って歌が来る。ちゃんとストーリーが出来上がってるんですよ。
下田:
機会があれば,ぜひカバーしたいです。35周年のときに(笑)。
私のアレンジ担当した楽曲では「レイクライシス」(iOS/Android)の「ラベンダーの咲く庭-Progressive Flute Ver.-」が気に入っています。アレンジをしてはじめて「レイクライシス」の複雑な曲の構造とコンセプトが理解できました。いい勉強をさせてもらったと思っています。
TAMAYO:
大変な曲ですみません(笑)。
SHU:
僕は「ミッドナイトランディング」のテーマ曲。あれは渋くていいですね。大人の曲というか。
石川:
SHUは何度もあれをアレンジしてるよね。
SHU:
アレンジは2回くらいやったかな。あの渋い雰囲気は,あまり他ではないと思います。聴いてない世代の方は,「こんなのもあった」という意味で聴いてみてほしいですね。
自分が関わった手前味噌的なもので言うと,「ガメラ2000」の「The end of 1996 H.K.」。これは中西(宗博)くんと高木さんとの共作です。僕はもっぱら打ち込み係で,マニピュレーターというかデータ管理というか,曲自体はスネアロールくらいしかやっていないんですけど(笑)。中西くんのアイデアを高木さんが二次発想的にいじくっていて,個性の強い曲になっています。
4Gamer:
ちなみに,これらの曲はiTunesやmoraで……。
石川:
大抵は買えます(※)。
※「ドンドコドン」(ファミリーコンピュータ版)の楽曲はクラリスディスク発売の「Rom Cassette Disc in TAITO Vol.1 Soundtrack」,「We Love Game! TAITO STATION」は「COZMO〜ZUNTATA 25th Anniversary〜」,「ラベンダーの咲く庭-Progressive Flute Ver.-」は「Ray 'z Music Chronology」に収録(ミックスやアレンジは若干異なる)。
4Gamer:
Disc 3にはクレーンゲームやメダルゲームの楽曲が収録されますが,クレーンやメダルの楽曲は,ビデオゲームとは論法などが違うものなのでしょうか。
なかやま:
「そのゲームに合うように作る」という,基本的な作り方は変わらないです。ただ,クレーンやメダルには特別な世界観やシリアスな雰囲気はあまりないので,楽しく遊べるような楽曲が多いですね。
石川:
でも小倉さんのは,何かクレーンに世界観を与えているというか,普通の曲じゃないので……カプリチオシリーズの後半はほぼ小倉さんなんですけど,クレーンなのに“小倉節”が(笑)。
COSIO:
「COZMO」には小倉さんの手がけた「カプリチオG-one」の曲が入ってましたね。今でもけっこう稼動していますが,あの曲はすごく好きです。小倉さんが抜けた後,プライズゲームが好きだったので僕がクレーンの曲を引き継ぎましたけど,小倉さんには敵わないって感じですね。
内田:
そういうのってインフォメーション性が強いじゃないですか。音楽や効果音もそうですけど,勝ったときと負けたときのメリハリをはっきり作らなければいけないというところがあるから,ビデオゲームよりも演出の飛び抜け方は強いですよね。
なかやま:
ある種の独特のフォーマットがあるというか,すごく機能性を要求されるんですよ。プレイヤーが大人だったら大人向けの分かりやすいもの,子供だったら子供向けの楽しげなもの……という。そこを守らないと,ゲームが破綻しちゃうんですよね。
COSIO:
クレーンゲームってプレイ時間はせいぜい30秒くらいなので,その中に表現を詰め込まないといけないですよね。
なかやま:
でもまあ,クレーンゲームだと客寄せ的なBGMとしてずっと流してる側面もある。ああいうものはお客さんをちゃんと引き付けなければいけないので,雑踏の中でも聞こえてくる音じゃないとマズい。
あと,Yack.さんの「ムーンキャッスル」は良かった。「ムーンキャッスル」みたいなキャッチーでポップな曲が流れていると,楽しい感じがありますよね。“楽しませる”って目的はすごく大事かな。
タイトーさんのクレーンゲームって,曲がすごい気合入ってると思うんですよ。他社さんは,機能的なところでピコピコサウンドみたいな曲が鳴っていたりするじゃないですか。それが悪いという話ではないんですけど,タイトーさんのクレーンゲームってやけに曲がゴージャスなので。
Yasko:
「ムーンキャッスル」の音源ってYM2610でしたっけ? 当時「このゲーム,そんないい音源乗っけちゃうんだ」みたいなことを思ったんですよ。
Yack.:
YM2203だったかな。
なかやま:
それが2つですよね。「ムーンキャッスル」ってCDになってるんだっけ?
石川:
あれは入れたいんですけど,音源が取れてないんですよ。今回「ティンクルティンクル」は入れるんですが。
Yasko:
「ティンクルティンクル」は私じゃなかったっけ? 「ニュージーランドストーリー」から使ってくれって言われて,天国の曲か何かを使った覚えがあるよ。筐体に描かれていたキャラクターがセイカノートみたいな絵で,「いいのか,この絵で」って思ったなあ。
なかやま:
あの緑の髪をした女の子。
石川:
当時でも古いなっていう(笑)。
D3BOSSとIDYAの音源も収録されますが,これらのマシンはどのようなものだったのでしょうか。
Yasko:
D3BOSSは地球ゴマみたいに動く筐体なんですよね。
石川:
セガさんのR-360よりも回転軸が1つ多いので回転がすごいんです。ただ,これはゲームじゃなくて基本的には映像を観る筐体だったので……アトラクションですね。
Yasko:
これ開発のとき面白かったですよ。ジョイスティックで自由に動くようにできていて,嫌いな上司が乗った時にぐりんぐりんに動かして(笑)。その上司はIKさんって人なんだけど。
ぐりんぐりんに動かしたら,「これ結構動くな〜」って冷や汗垂らしながら降りてきたっていう(笑)。
石川:
その一方で,ゲームができる汎用可動筐体として作られたのがIDYAですね。これはゲームを選べるようになっていて,「ギャラクティックストーム」とか「サイバーステラ」とか,あとYack.さんが曲をやった「スーパーチェイス」も入ってました。
Yack.:
ああ,そうなんだ。知らんかった。
4Gamer:
それらの曲というのは,どういう場面で使われたものなのでしょうか。
石川:
D3BOSSは,乗ったときにタイトルが出てくるところのジングルで,TAMAYOさんの曲です。IDYAはゲームを選ぶ前に鳴っているメニュー曲か何かで,中西くんの曲です。倉庫を漁っていたら音源が見つかったので,ほとんどの人が知らないだろうと入れてみました。個人的に,D3BOSSとIDYAはもっと評価されていいと思っています。
みんなR-360は覚えているのに,D3BOSSのことは全然覚えていない……まあゲームじゃなかったからね。でも見た目からすごいじゃん? しかも軸が1個多いんだぜ!
4Gamer:
ビデオゲーム系のタイトルはどのように選出されたのでしょう。
石川:
前から音源があったのですが,いい曲なんだけど1枚のアルバムにはできないという曲が溜まっていて,思い切って30周年記念盤に入れちゃおうかなという感じですね。昔,ZUNTATAがサイトロンさんからCDを出していたときって,1枚のディスクにいろんなゲームの曲が入ってたじゃないですか。実は,あれをもう一度やりたかったという意味もあります。
4Gamer:
サイトロンのゲームサントラには,カップリング盤やオムニバス盤みたいなのがありましたね。
石川:
あれで遊んだことのないゲームの曲を知ったというのが,結構あると思うんですよ。僕は「功里金団」とか「レイメイズ」とかをあれで知りましたので。そういう体験を今の人にもしてほしいので,複数タイトルの曲を入れたという感じです。とくに堀江(良朗)くんの「レイトレーサー」はCD化を望む声が多かったので,入れられてよかったですね。
あと,「ランドメーカー」って実はコンシューマ版とアーケード版で音楽が違うんですよ。Sayokoがやったコンシューマ版はアルバムになっているんですけど,Yack.さんがやったアーケード版はできていなかったので,今回入れてみました。
4Gamer:
さらに“プロトタイプ音源”も収録されますね。
石川:
開発中にデモ用で作った,最終形になる前段階の曲です。なので,ゲームに使用された曲とは構成やアレンジが違ったりしています。
4Gamer:
そういった曲が収録されることについて作曲者の感想をうかがってみたいのですが,どなたの曲が収録されるのでしょう。
石川:
今いる方々だと……SHUは「アウトバースト4D」の「ENERGIZE」が入るけど,あれはどう?
SHU:
自分で聴き返したときに,割りと「これはこれでいいな」という感覚がありました。ちょっとした違いですけど,完成版を聴いていた人も,新鮮な気持ちで聴けるかなと思います。
4Gamer:
さらにアレンジコンテストからの選出曲も入っているわけですが,まずは曲の紹介をお願いします。
石川:
siqloさんによるEDMアレンジの「Born to be free」と,EniGmAさんによるロックアレンジの「Daddy Mulk」,この2曲です。
4Gamer:
原曲の作者であるYack.さんは,アレンジ版の「Born to be free」を聴かれてどう思われました?
Yack.:
ちゃんと今の時代に即したアレンジで,ええんちゃいますのん?
(一同笑)
まあ欲を言っちゃうと,正直「もうちょい遊んでもいいんちゃう?」って思うところもあるんですよ。もっとグダグダにしてくれたら,さらに嬉しかったなという部分はあります。
TAMAYO:
そういうのもあったかもしれないけど,もしかしたら石川くん達の段階で落とされちゃったかな?
Yack.:
それでも,機材は揃ってないけどアレンジはすごく面白いことをやっているって曲がいっぱいあったんだよね。ただCD化するとしたら,いろいろと考えなきゃいけない部分が他にもあると思うし。
石川:
確かに「発想がすごくいい!」っていうアレンジはあったんですけど,音のクオリティで惜しいのが多かった。発想とクオリティ,両方を兼ね備えたものじゃないと,アルバムに収録する曲としては難しいところがあります。
Yack.:
惜しい作品が多いのも,逆に言うと「皆このレベルまで来てるんだ!」という驚きがあるね。もっとアレなものばかり集まってくるんじゃないかと思ってた(笑)。
石川:
僕らの選考で落としたものでも,著しくクオリティが低いものは,全くと言っていいほどなかったですよ。一般の方のレベルも確実に上がっていますね。
下田:
今回の募集はArtistCrowdというコンペサイトへの作家登録が必要だったので,そのハードルが高かったみたいですね。
これが例えばタイトーの公式サイトで一般公募したら,もっといろんな曲が集まったかもしれないですね。
先日,「きゃっち・ざ・はーと!ZUNTATA30周年おめでとうライブ」というファン主催のライブを観に行って,それがすごく良かったんですけど,あの方達がバンドアレンジを応募していたら,それも楽しかっただろうなと思いました。
なかやま:
あのライブは攻めてましたよね。攻めすぎなところもありましたけど,それも含めて面白かったです。
下田:
そういうカバーバンドの応募も,もうちょっとあってほしかったですね。
石川:
今回はテクノ系が多かったよね……まあ,時代かな?
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